HOMEback number > 自由なカラダのつくりかた。Vol.06


エクササイズ考案&テキスト
宮川万衣子 miyakawa maiko
<profile>
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後、不動産会社勤務を経てバレエダンサーに。自身も舞台に立ちながら、フリーランスのバレエインストラクター、ピラティスインストラクターとして数々のジムやスタジオで活躍中。


いつのまにか夏から秋へ季節は移ろい、一抹の寂しさと共に朝晩の気温の低さにびっくりする 今日この頃。
毎年こういう季節の変わり目に体調を崩す方、多いですよね。
一番の原因は気温の変化と言われています。
外気に体温を合わせるのは、自律神経の働き。いつもよりも気温の変動が大きいと、急に仕事量の増えた自律神経は大弱り。ストレスを抱え込むこととなり、免疫力や抵抗力が落ちてしまうのです。
そんな要注意の秋、正しく美しい姿勢を意識しつつ身体の中のエネルギーの循環に注目していきたいと思います。

よく耳にする、「ツボ」や「経絡[ケイラク]」。東洋医学では、「気」が人間の身体を左右する大きな要素だと言われています。筋肉や神経で全身が繋がっているように、全身が「気」で繋がっているイメージを持ってみましょう。
流れ自体が「経絡」、その流れの上に点在する駅のような役割をするのが一般的に「ツボ」と呼ばれる場所です。
姿勢が悪くなると、この通り道がせき止められて「気」の流れが悪くなります。まずは背骨のカーブを確認してみましょう。



このカーブが失われたりカーブがきつくなり過ぎたりすると「気」が滞り、問題のある箇所から、悪い「気」が排出されて行くのを阻害すると言われています。

一日の生活の中で一番多い姿勢と言えば、「椅子に座る」ではないでしょうか?
一番長い時間している姿勢ならば、そのときが狙い目!
正しい姿勢で座り、正しいカーブを身に着けましょう。

まずは椅子に座るときにの部分を椅子の一番深く椅子の背もたれギリギリに深く腰かけるように心がけます。
そこから背骨が直角になるよう意識しながら背もたれに軽く寄りかかります(背もたれが軽くリクライニングしているようならタオルやクッションを置くと、首に負担がかかりません)。
「準備」で意識したカーブを保ちながら、大きく呼吸します。

吸うときはリラックス、吐くときは矢印の方向におへそをへ引き入れるよう意識します。
分かりにくい場合は、手のひらをおへその辺りに当てながら、実際におへそを引っ込めてみましょう。
慣れてきたら、息を吸うときも適度な引き入れを意識しながら呼吸を繰り返します。

このカーブが失われたりカーブがきつくなり過ぎたりすると「気」が滞り、問題のある箇所から、悪い「気」が排出されて行くのを阻害すると言われています。

まずはで意識した背骨のカーブを保ったまま腕を机の上に乗せます。この時、背中全体を使うためにも手はグーに握っておくといいでしょう。
肘から先グーの小指側にかけて、腕全体で机を押しながら、さらにおへそを引き入れます(最初はの部分にタオル等を挟むと分かりやすいです)。

呼吸は自分のペースで続けながら、息を吐くタイミングに合わせて、片足ずつ床から少し浮かせます(図)。

この時、一番重要なのは、脊椎のカーブをなくさないことです。お尻の辺りから、カールして脚を挙げようとすると、腰に負担がかかってしまいます(図)。 ほんの少し浮かせる程度にしましょう。

慣れてきたら両ひざをしっかり内側にくっつけながら、両脚でやってみましょう。
脚を浮かせることに集中し過ぎると、背中が丸くなったり、腰を丸めてしまいがちです。
おへそをしっかり背中のカーブに向けて引き入れる意識を大切にしましょう。


座っている姿勢の次に多いのが「立っている」姿勢だと思います。
通勤電車の中、待ち合わせ、立ち仕事、職業やライフスタイルによっては、立っている時間の方が長い方もいらっしゃるかもしれません。
では、「立つ」に関係の深い、下半身の骨格から見ていきましょう。

下半身の骨を形成するのは、一般的に「骨盤」、と「脚」(足)。
骨盤と脚の関係を見てみると、脚の間に骨盤が浮いているように見えますよね。重力があるのにどうして落ちないの……?
答えは左図のピンクの線の部分、「筋肉」の働きです。
骨盤と太ももの骨の内側をつなぐ筋肉が、骨盤が脚の間から落ちるのを防いでいます。
この筋肉が弱くなると、脚と脚の間が広くなり、丸く内臓を包んでいる骨盤が開いてしまいます。

この内ももの筋肉をしっかりと活性化させるために、立つ姿勢を矯正していきましょう。

まずは内もものエクササイズです。

まずはボールやタオルなど、やわらかく押しつぶしても痛くないものを、ももに挟んで立ちます。
(座ってマスターした、おへその引きいれも忘れずに意識しましょう)
じっくりと息を吐きながら、ボールを内ももで絞ります。
そのとき同時に、足の裏は床を外側に引き伸ばす感覚で
踏ん張ります。1回10秒程度、5セットほど繰り返しましょう。

慣れてきたらボールを使わず、踵と踵をしっかり付けてバレリーナのように立ちます。この時、足が1本になってしまうようなイメージで、脚の内側をしっかり押し合って見ましょう。


「ツボ」や「経絡」は根拠のない古代の治療法ではないと言われています。 しかし、言い方は違えど、科学的にも全身は筋肉の膜や、組織によって繋がっています。
そして、筋肉は内臓にも足の裏にも、頭皮にも全身に張り巡らされています。 全身の血流を澱みなく流すことで、身体のストレスを軽減させましょう。


通勤電車の中、待ち合わせの待ち時間、様々なシーンで美しい姿勢を保つ意識をするだけで、身体は変わります。
しっかりと正しい姿勢を身に付けて美しく健康に!
食事や芸術、読書に行楽と、ハッピー満載の秋をエンジョイしましょう!



オリジナルエクササイズをご紹介する
本コーナーは今回で終了いたします。
次号からは宮川万衣子先生による、
カラダに関するいろんなお話の新連載が始まります。

お楽しみに!


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