Interview, text & photo
Hong Ae Sun


通勤の時間が、電車20分と徒歩10分くらいなのですが、その電車の時間がとても大切ですね。特に、終業までバタバタと仕事していた日は頭がフル回転のまま出てくることになるので、意識して切り替えしないといけなくて。
いつも本を2、3冊持ち歩いているのですが、会社に向かうときは仕事寄りの固めの本を読み、帰りはゆったりした気分になる本を読むようにすると、気持ちが切り替わります。
一度、駅から保育園に向かっている間に仕事の電話がかかってきたことがあったんですが、「せっかく20分かけて切り替えたのに戻っちゃったよ〜!!」って気持ちになりました(笑)。



やっぱり……小学校に入ったとき、今の働き方で大丈夫かな、ということろでしょうか。会社に勤めながらでもできなくはないけど、定時が17時半までで、学童が終わる時間までに帰ってこれるのか、と。
それに、夏休みとかの貴重な時間を、学童だけで終わらせていいのかな……と思ったりもします。

正直、ありました。余震もそうですし、原発事故の影響で給食を食べさせてもいいのか、水道水で淹れる飲み物は大丈夫なのか、と思ったりもしました。中には、入園を取りやめた子もいたみたいです。
実は、震災の大地震があった時、保育園の近所にいたんです。歩いているとものすごく揺れたので、どうしようどうしようと思ったんですが、とりあえず保育園の様子を見てみよう思って横目に覗いてみると、先生たちが真剣に子どもたちを避難させている様子を見たんです。子どもたちも取り乱すことなく、みんな落ち着いて行動していて。入園してお迎えにいった際に余震があったときも、先生たちがすごく落ち着いて子どもたちを安心させていて、「あぁ、保育園っていうのはすごいんだな」と感じたのを覚えています。
ただ、今も不安が全くないわけではありません。この先、東京都の条例で、「災害時にはむやみに外出せず職場に待機」という風になるんですよね。会社から保育園まで歩けない距離ではないのですが、そうやって「足止め」されてしまったとき、子どもはどうするのか、と思ってしまいます。「帰る」か「帰らないか」を自分で決められないかもしれない、というのは、ジレンマですね。

意義、何だろう……もちろん収入という面はあるけど……。それだけだったら、こんな苦労はしないですよね。「仕事で達成感を得る」という強い思いよりも、今の時点においては、「自分の居場所がある」というところで救われたりしているのかもしれません。

○くんママ以外の顔になれるとか、子どもが生まれる前から一人の人として見ていてくれた人たちが同じように今も見てくれている、というところに、安心感を持っているのかもしれません。

お子さんを通わせている保育園に対して、絶対的な信頼感を持っていらっしゃるのが印象的でした。大切な乳幼児期に、子どもが一番長い時間を過ごす保育園。信頼できるかどうかで、仕事に対する姿勢や捉え方も大きく変わるように思います。それにしても……これまで本連載の取材をしていて、「ウチの保育園って、とても良いんです!」という方が多いこと! 逆に、「全然ダメです、ハズレ。辞めさせたい」っていうお話は、聞いたことがないくらい。もちろん、当たり外れもあるかもしれませんが、日本の保育園、がんばってるんだなぁと感じました。保育園に入れることを躊躇している方、ぜひ、参考にしてください。
そしてもうひとつ感じたこと。子どもの病気などで急に休むことがあるため、「自分しかわからないような仕事のやり方」は厳禁なのですが、それをずっと続けていると、
「この仕事、自分じゃなくてもいいんじゃないか……」という風にも思ってしまう……。仕事をするからには、必要とされる仕事、「自分じゃなきゃダメな仕事」もやりたいと思うけれど、今の状態でそれをやるのはあまりにもリスキーで無責任で……。もどかしいです。仕事って、何だろう。
こんな疑問を持つこと自体が「甘え」かもしれませんが(生活を背負って仕事していたら、きっとそんな風に思う余裕などないはず)、自分にとって、家族にとって大切な「時間」を捧げて携わっていることだから、
モチベーションを保つためにも、「仕事をする意義」については、意識しておく必要があるかもいしれない、と感じました。



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