Interview, text & photo
Hong Ae Sun



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授乳してるときは夜泣きがけっこうひどくて、やっぱり寝れないのはきつかったですね。最近はイヤイヤが出始めてどう対処したらいいかわからくて、自分も疲れてたりするとうまく流せなくてストレスを感じたり……。あとは、主人に対して「食器とか洗っててくれたらいいのになぁ〜」とか思ったり(笑)。
私の場合、音楽に合わせて身体を動かしたり、ジャイロで自分の身体を見つめたりするとすごく落ち着くので、自分の時間を作るために少し余裕を持たせることが大切なんだなぁと感じています。0歳の頃はそんな余裕もなくていっぱいいっぱいになっていたので、最近はなるべくゆとりを持たせられるように、「休むことも仕事のうち!」と割り切るようにしています。

毎日お迎えに行く直前まではかなりバタバタなんですが、お迎えにいって子どもの笑顔を見ると、全部持っていってくれる感じですね(笑)。子どものパワーってすごい。すごく助けられていると思います。



そうなんです。お声掛けいただいて、思い切って出演することにしました。
出演先の振り付けの先生とも、「子どもがいる」というのを前提で考えなければいけないよ、と言われました。舞台って絶対に穴を開けられないし、でも子どもに何かあったらその時どうするか、という覚悟の上でやらないといけない、と。
家族ともすごく話し合って、私もかなり説得しました。主人には、「じゃあ、なるべく迷惑かけないようにやってほしい」と言われて、私も初めはそのつもりでがんばる!と思っていたんですが、その先生に、「『迷惑かけないように』じゃなくて、初めから『迷惑かけます』と家族に説明しなさい」と言われたんです。その時、あぁ、そうか!と思いました。先生ご自身もシングルマザーとしてお子さんを育ててこられたので、その言葉にすごく説得力があったんです。

ほしいな〜とは思ってるんですが……。一人目は、結婚してこれからの生活のことを計画する前にすぐにできたので、二人目こそ計画的に……とは思うんですが、なかなかその計画ができていなくて……。11月の舞台は妊娠したらできないのでそれまでは、というのがありますし、仕事のペースも考えて……。
最近、2歳になってからやっと落ち着いてきて、自分の生活リズムが整ってきたところなので、また産休・育休、保育園探しや0歳児の病気なんかの苦労をもう一回、と思うと、なかなか踏み切れずにいます……。そう思うと、上の子が小学校に上がるくらい?でもそれだと私や主人の年齢的なことも気になるし、主人は「リミットは来るから早い方がいいんじゃないか」と言われたりするんですが、なかなか、という感じですね。

どっちだろう……。子どもを産んですぐの頃は、「子どもといる自分が本当の自分でなきゃいけないのに、踊ってる時の方が自分のような気がする」と感じてしまって、こんな母親でいいのかって自分を責めたこともありました。最近やっと、「どっちも自分なんだな」と思えるようになった気がします。少しずつ、「母親」になっていってるという感じですかね。


フリーランスで仕事していると、会社員のように「何時から何時まで勤務」というような時間の縛りもないし、子育ての生活リズムに合わせて「程よく仕事」できる、と思われがちですが、実際は報酬は仕事をした分だけだし、代わりもきかないのでいざというときも休みづらい、いただいた依頼を断ると次が来なくなるかもしれないので無理をして仕事を詰め込んでしまう、など、「程よく仕事する」とはかなり遠いというのが現状です。
では、どうしてそんな不安定で大変な仕事を選ぶのか……その理由は、とても簡単です。「やりたいことがある」から! 
猪俣さんのお話をお伺いして、「やりたいことをやる」というお仕事スタイルは、何と自然体で美しいのだろう、と感じました。毎日、全ての時間をフル活用してあっちへこっちへ移動してレッスンを受け持ち、自分もレッスンを受け、舞台にも立ち、さらに子育てと家事も……。「バレエ団に所属していた頃からしたら考えられないスケジュールで毎日動いてるけど、やろうと思えば何とかできちゃうものですね」と、照れ臭そうに笑う姿が印象的でした。
苦労が多いのは、「代わりがきかない」から。それってすごく誇らしくてかっこいいことなのだと感じました。「好きなこと」を仕事にできて、それで報酬をもらえるって、単純に、すごいことです。全然、当たり前のことではない。今まで歩いてきた道、重ねてきた努力の成果です。フリーランサーママの皆さま、今日もお仕事がんばってください!



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