Interview, text & photo
洪愛舜 Hong Ae Sun
<profile>
1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。
自身も0歳&2歳の二児の母。




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看護休暇が幼児一人につき年間5日までとれるのですが、子どもたちがもっと小さい頃は、半年で使い切ってしまっていました。私も夫も実家が遠く頼れないので……。でもここ数年は本当に病気をしなくなりましたね。今年はまだほとんど使っていないくらい。
子どもも大きくなったので、風邪をひいても長男は一人で寝ていてもらったり、次男は午前中の半休をとってお昼だけ食べさせてから仕事に行ったりしています。

徐々にやるようになった、という感じですかね(笑)。今は、私の出勤時間が早いので、朝食の後片付け洗濯を干すのをやってもらったり、三男の保育園にも連れていってもらっています。
私が時短勤務で帰ってくるのも早いし、夫は料理があまり好きじゃないのもあって、日ごろの食事の準備は私が担当していますが、夫は毎日帰りも遅いし土曜も仕事なので……。



そうですね〜。三男が小学校に上がると時短勤務が「条件付き」になるので、通常勤務になるかもしれないんです。なので学童を19時まで延長にするか、親が迎えにいかないでみんなで帰る「集団下校」というのもあって、その場合は17時下校になるので、それで先に帰ってもらって、次男と家で遊んでてもらうか、とか……。
でも、なったときに考えます(笑)。今までどのタイミングでもそうだったんですが、「何とかなる」と思ってたら、何とかなってきたので……。あんまり考えると多分三人とか産めないです(笑)。

全くない、というと嘘になりますね。特に今は……。三人目を産んで育休から復帰するまでは、生活を回すのに精いっぱいだったのと、またいつ妊娠して休みに入るか、という状態だったので、そこまでは感じなかったんですが、三回目の育休が空けて生活も落ち着いてきて、やっと仕事に打ち込める、という風になっても、やはり仕事面では「そんなに評価されていない」と感じます。与えられた仕事はしっかりやるけど、それ以上を任されることはないというか。自分でも「もっとできる」と思ってはいるけど、だからと言って「やります!」と手を挙げても「じゃあ17時からミーティング」と言われても出られないから、手を挙げたいけど挙げられない、という感じで……。後から入った人たちが大きな仕事を任されたり、先に昇進したりするのを見ると、焦りやジレンマを感じます。
でも、「子どもを三人産んで育てる」というのは自分の人生のメインテーマだったし、子育てを通して世界が広がったと思っているので、そこに後悔はありません
仕事と家庭のどちらをとるか、と聞かれたら、私は迷わず「家庭」をとります。家族のために働いているので。子どもも、もっと母親と一緒にいたかったかもしれないのに、その時間を削って働いているので、子どもに恥ずかしい仕事はしたくない、と思っています。
職場の「非公式の飲み会」には行けないし、「女子会」のようなものには声もかけられないのがさみしい時もありますが(笑)。

「何とかなる!」と思います(笑)。仕事は仕事でとても楽しいけど、子どもとの関わりでしか得られないことって多いので……。
色々大変なときはあると思うけど、そんなときは周りの人に助けてもらってください。私も、上司や同僚に本当に助けられています。周りの人は、「助けて」と言われないとわからないので、ヘルプの声を挙げてくださいね。
仕事を続けようか迷っている人は、辞めるのはいつでもできると思うので、働くママ仲間としては、続けてもらいたいですね。
でも、身体を壊したり、家族を犠牲にしてまで続ける必要はないのかな、と思うので、「後悔しない」と思えるなら、決して無理をしないで、大切な方を優先してもいいんじゃないかな、と思います。


親が「ぶれない」というのが、とても大切なんだなぁと思いました。例えば、次男君の保育園を転園させるときのお話。親の都合、大人の事情で子どもが大変な思いをすることになる際、自分のせいで子どもに苦労をかけてしまった、やっぱり親が無理してでも前のところに通わせてあげたらよかったかな……と思ってしまいそうです。でも、そうするその「迷い」が子どもにも伝わり、不安定な時期が長引いていたかもしれません。お母さんがぶれないで、「新しい所もこんないいところがあるよ」とと前向きな言葉をかけ続けたことで、次男君も新しい環境になじめたのだと思います。こういうシーンって、たくさんある!と思いませんか? 私も、今も……。「子どもの気持ちに寄り添う」ことが子育てにおいてとても大切なことだと思うので、大事にしているのだけど、寄り添いすぎて親がぶれてしまっては逆効果なんだ、と感じました。
杉本さんは、「私もぶれそうになるときもありますが、自分の中に隠すようにしています。でも、最近は長男にはバレてるかも」と笑っていました。
一方で、「辞めます」はいつでも言えるから、と語る杉本さん。ぶれない芯を持つことと、柔軟に対処すること、そのバランスもまた、大切なのですね。
そして、とにかく、タイミングがすごい! 旦那さんの異動と妊娠が同時期だったから、産休・育休を利用して一緒に転居し、仕事を辞めないで済んだ、そしてそれが二度も! というのが、本当にすごいというか、「授かりものとはこういうことか!」と思いました。
でも、仕事を続けるために、産休に入るまで一人で子どもを見ながら仕事もして、しかも妊娠中で……という、その日々の大変さを思うと、もう……。特に、三男君の出産のときのお話を聞きながら、自分の二度目の出産のとき、上の子をベビーカーに乗せて病院に向かった夜のことを思い出し、涙が出ました。そんな苦労を一緒に乗り越えていくことで、親も子も成長するし、も深まる。家族とは、そういう共同体なんだと感じました。

 



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