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くりオンマ
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1980年東京生まれ京都育ち。
大学卒業後、渡豪し、自然と戯れる。
2010年、結婚を機にソウルへ。
2012年4月にソウルで愛娘を出産。
現在は外資系企業でアナリストとして働きながら、子育てにも励んでいる。


前号で、韓国の「おけいこ事情」について紹介していただきましたが、今回は、「おけいこ事情・失敗談編」。白熱する韓国での教育環境を目の当たりにしたくりオンマのリアルな体験を綴っていただきます。(編集部)

前号では韓国のおけいこ事情の実体験を交えたレポをお届けしたが、今号では私がやらかしてしまったおけいこ失敗談を綴りたいと思う。

娘がリトミックを始めたのと同じ時期に、ママ友の一人から声をかけられる。絵画教室のお誘いだった。その方は大学で美術を専攻し、絵本作家としても活躍した経歴を持つ。子ども向けの絵画教室を始めるとの事で、お誘いがあったのだ。運動を一緒にする仲で、気の合うママ友の一人であった。2歳すぎれば授業は可能との事。

韓国では豊かな独創性を育てるために絵画教室に通わせる人が多い。まぁ、つまるところ、うちの子をエリートに作りたいという考えなのかも知れないが……。
実は、娘は当時、家では一切、絵を描かなかった。クレヨン、色鉛筆、絵の具……いろいろ準備して、一緒にやってみようとしたが、全く興味がない。常に走り回っているだけで、座って何かをする事を好まないのだ。
悩みに悩むこと1ヶ月……落ち着いて座って、何かに取り組むことを学んでほしいなという思いから、絵画教室に通わせる事にした。まぁ、この時点ですでに判断ミスだったのだと思う。親の欲を押し付けるにすぎない状況を作ってしまった。
絵画教室1日目。絵画教室は、ママ友のおうちの一部屋をアトリエ風にしてあり、そこで授業が行われた。一緒に授業を受けたのは、娘を含めて3人で、1個上のお兄ちゃんと同い年の男の子。画材がいっぱいある部屋で、アトリエの雰囲気をかもし出していた。
いすに座ってはいるものの、すぐ飽きちゃって、筆をただ振り回しているだけ。でも、まだ2歳半(当時)すぎた娘にそれ以上を求めるのは早いよねと言い聞かせ、座って30分、机に向き合ったことをいっぱいほめた。娘も楽しいと言ってくれた。この時点ではまだ娘の言葉を信じていた、いや、信じようとしていた……

ピカソ的な絵が完成。筆で点を描けるだけで十分なんだという先生の励ましを受け、私もすっかり良い気分になる。
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翌週、絵画教室2日目。一旦は机に向かうものの、またすぐ飽きちゃって、歩き回る。ただ、横で一生懸命絵を描いている1個上のお兄ちゃんにつられて、短い間ではあるが筆で何かを描こうとする姿がちらほら見受けられ、私としては前向きにとらえた。よし、こうやって積み重ねていけば、きっと成長するはずだと……。

2日目の作品がこちら。

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絵だけを見ると、すごいじゃんと思うかも知れないが、先生と一緒に筆を持って、半強制的に描いた絵である。黒とピンクは粘土で、粘土遊びは好きな方だから、頑張るかなと思いきや、投げ飛ばして遊ぶ始末……娘は粘土をボール代わりに使用(笑) 多分、先生の求めていた事はそういう事じゃないはずだが……。

さらに次の週、絵画教室3日目。絵画教室に到着し、筆を持つのではなく、積み木で遊んじゃっている……前回までもたいして興味を見せなかったが、今回も同じく。絵を描くという事自体には興味がないようだ。ただ、横で絵を描いている子の姿を見て、つられてやっているというだけの状態。
私に迷いが生まれる……このまま通わせるべきか。私の判断が間違っていたような気がし始めた。家でも筆やクレヨンに興味が持てるように、私なりに努力をしてみるが、甲斐なし。ぜーんぜん興味を持たない(笑)3週間、いろいろな努力をして、絵画教室に通わせてみようとしたが、私の気持ちにけりがついた。

通うのをやめよう。

1ヶ月も悩んで決めた絵画教室通い。でも、結局そこには「子どもにこうあってほしい」という「親の欲」が入りすぎてしまって、結局は良い結末を迎えることができなかった。
何でもすぐやめればいいという子にはなってほしくないという思いから、葛藤もあったが、ここであと何週間、ずるずるやっても仕方がない。これは違うなと思った時に引き返すという事も大事。だから、私は引き返すことを決意。
娘は走り回ることが好きで、はしゃぐのが好き。座って、何かをするという事にまだ興味がない。わかっていたはずなのに、落ち着いて何かを達成する力を身につけてほしいという、もっともらしい言い訳をつけて、親の欲を2歳児に押し付けてしまったのだと思い、深く反省した。

あれから半年が経ち、3歳になった娘は、丸も三角も、人の顔だって描ける様になっていた。子どもそれぞれ、「時」というものがあり、その時期になれば、みんなできるようになるんだなという事。いや、別にできなくたって、どうって事はないのに。個性を引き出してあげることを優先的に考えるだけでも時間が足りないのに、苦手なものも「となりの子」と同レベルにはできてほしいという考えから、ついつい……。比べないとは言っていても、知らぬ間に比べている自分がいて……まだ2-3歳の子を(笑)

この件を通じて、深く反省し、娘のいいところともっと向き合えるようになった。身体を動かすのが大好きな娘と、体当たりで遊ぶことに徹し、毎日、公園で2時間走り回るといった日々をすごしている。娘は日々、成長しており、最近は家でもお絵かきする日がたまにある。月に2-3回ではあるが、娘にとっては大きな成長(笑)娘の速度に合わせて、私も彼女の成長を見守りたい。

リトミックの方はというと、クラス一、元気で、先生が「娘さんは男の子以上です」と断言する始末。5月まで通ってリトミックは卒業する予定だ。6月からは公園を中心におそと遊びをして、また寒くなる頃に、テコンドーを習い始めようかと考えている。テコンドーは韓国ではほとんどの子どもが一度は通うおけいこ事。5歳ごろから通わせるのが一般的らしいが、早い子だと3歳から通い始めるらしい。娘ももうしっかり意思表示もできるし、この秋ごろになればなおさらだ。娘としっかり話し合い、テコンドー教室のことは決めたいと思う。


***To be continued***
次回もお楽しみに♪


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