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くりオンマ
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1980年東京生まれ京都育ち。
大学卒業後、渡豪し、自然と戯れる。
2010年、結婚を機にソウルへ。
2012年4月にソウルで愛娘を出産。
現在は外資系企業でアナリストとして働きながら、子育てにも励んでいる。


韓国で子育て中のくりオンマですが、今回、初めて1か月間に渡り、日本で子育てする機会がありました。日本の子育て事情は、くりオンマの目にはどのように映ったのでしょうか?今回は、「くりオンマの子育て日本編」をお送りします。(編集部)

仕事の都合で1ヶ月ほど、日本で生活することになった。日本での1ヶ月といっても、ワーキングママとして、日本で、働きながら育児をするのだ。これは私にとっても家族にとっても初めてのことで、わくわく半分、不安半分。今号では、日本で子育てしてみて感じたことを綴ろうと思う。

一番の不安は保育園の空きがあるかであった。平日は仕事をするために、娘を保育園に預ける必要があったから。日本では認可保育園と認可外保育園があるとのこと。韓国ではアパートの1室であろうと、「認可外」という概念はなく、市の検査を通過なければならない。また、韓国の保育料は基本的には無料。特別活動費といって、月に数千円払ってはいるが……しかし、日本では事情は全く異なる。保育料もマチマチ。給食の有無もマチマチ。
日本に行く前に、インターネットの情報だけを頼りに、保育園に電話を入れ、電話で話した感じが一番良かった園長先生のもとに預けようと決めた。給食なし、預かり時間も8:30から18:00までと制限付きであったが、先生の「話し方」の印象で決めるしかなかった

いざ、日本へ。娘と二人での長旅。関空に着き、空港近くで1泊、実家のある京都へ向かい、京都で1泊、そして新幹線に乗って東京へ。この長旅の間、まず見えない壁にぶち当たる。公共の交通機関を乗るのに、こんなに気疲れするのかという事に気付かされた。長旅が続いていた娘の機嫌がさほど良くなかったのは確かだが、周りの方に何度も謝り、謝り、また謝り……電車の中が静かだからだろうか。すごく気を遣った。韓国では交通機関に乗っても、ここまで気を遣わなくてもいいのは、周りも騒がしいからか?笑。とにかく気疲れした2泊3日の長旅であった。

東京に着き、さっそく保育園にあいさつへ。新設ということもあり、施設はとてもきれいで、整理されていた。園長先生も優しく、安心して預けられそうだと思った。娘も抵抗無く、園内で楽しそうに遊んでいた。

登園1日目。お弁当がない韓国の保育園(遠足がある場合はお弁当持参であるが、娘の通っている保育園は園の方針で、遠足が無い)。娘は初めてのお弁当を見て、目がキラキラらんらん。うれしそうにする娘を見て、一安心。園に着いたあとも少し不安げな表情を浮かべたが、園にすんなり入っていった。

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初めて作ったお弁当。彩りがむずかしい……

しかし、降園時に娘の表情がおかしい。明らかに暗い。慣れない環境で疲れたのかなと思い、娘と濃厚な時間を過ごした。
しかし、この暗い表情は日に日に増していき、いよいよ登園拒否。私がお弁当を作ると、そのお弁当をかばんから取り出し、食べちゃったり、大泣きして暴れたり。
娘のストレスを感じ、登園させるのを断念した。登園してから1週間も経たないうちに、こんな事態に発展してしまった。幸い、母の助けがあり、母に娘の子守りを任せて、毎日、仕事へと向かった。

娘にとって、言葉の壁や、保育園の環境の変化を受け入れるには、あまりにもハードルが高かったのかも知れない。韓国でも日本語で私が話しかける事は多々あり、娘も聞き取ることはできる。しかし、保育園で全く韓国語が通じない生活は、娘にとって辛かったのかも知れない。
娘は順応性が長けているからきっと大丈夫なんて、軽んじた私の考えから来る、判断ミスだった。
娘が保育園で覚えてきた日本語もそれなりにはあり、それなりに保育園生活を楽しんでいたのかなと思う節もあるが、何か不安を抱えての保育園生活だったに違いない。

私も保育園に行くたびに、韓国の保育園とは違う雰囲気も察していた。認可外というのもあるとは思うが、日本での保育園生活で一番驚いたのは、母親が教室内に入って、こどもの靴下を脱がしたり、タオルやお弁当、かばんを指定の場所に置いたりするなど、親の介入が多かったこと。先に登園している子どもらの視線がなんとも切なく、痛かった。
韓国の保育園では保護者の園内への進入は基本的には禁止。こどもが泣いても、保護者は園内には入れない。入れてもらえない事に対して、はじめは不信感というか不安があったが、日本でこのような体験をしてからは考えが変わった。園内に入れないというのには、それなりの理由があったのだと……


休日に遊びに行っても、韓国とは若干異なる空気を感じた。スーパーに行っても、子ども達がみんな、お行儀が良い(笑)保護者もこどもをしっかりケアしている印象。韓国でも保護者がこどもをケアしてはいるが、日本での親のケアの迅速さには圧巻だ。
ショッピングモール前で行われたアンパンマンショーを見に行った時も、見事な秩序! 無料ショーだったのにも関わらず、警備員の方が多少は居たが、それにしても、素晴らしい秩序! 韓国では、少なくともあの警備員の3-5倍くらいの人数がいないと、大変なことになりそう(笑)

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ショッピングモールにて。娘はエンジョイしていました

その反面、この秩序に違和感もあった。どこに行っても、子ども達がマナーを守っている事が素晴らしいとも思ったが、ちょっとだけかわいそうだとも思った。もっとのびのびしてもいいのになー。 きっとその子達なりに、のびのびしているんだろうけどね(笑)韓国のこどもがのびのびしすぎなのかも知れないし、それは大人になった時により顕著に表れるのかも知れない。日本人のマナーの高さは世界的にも有名。私は韓国在住5年目になり、日本に帰ると、そのマナーの良さに私も驚かされる。あまりにも良すぎて、たまに淋しいと思うくらいだ。韓国で荒波にもまれながら、すったもんだしながら生活しているせいであろうか(笑)あぁ、すっかり韓国のアジュンマ(おばちゃん)になってしまったようだ。

今回の日本滞在でこどもに教えなければいけないこと、日韓でいろいろと違いが多いことを再確認できた。今後、娘にはその違いを家でしっかり教えることこそが、私が母親として娘にできることだと思った。

 


***To be continued***
次回もお楽しみに♪


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