出産と共に人生がスタートし、羊水に囲まれた暖かい暗闇から、空気という「無」の中に放り出された赤ちゃん。
動きのはじまり方には個人差があるかと思います。が、一様に言えるのは自分のパーツを触る、もしくは合わせる動きから始まるということ。
胎内でも指をしゃぶったり臍の緒と戯れていた赤ちゃんは、外に出た後もお腹の中にいた頃の動きの
復習や新たな発見で大忙しです。
産まれた時には既に
触覚が備わっているものの、自分とその他の
境界線すら把握していない赤ちゃんは、ベッドにかかる自分の重みや、自分のパーツごとの「触ってる」「触られてる」もしくは「触られていない」(=空中)という感覚の違いを学びます。
胎内でほぼ無重力だった赤ちゃんにとっては、重力や空気でさえも大変な混乱の要素です。
ねんね期の赤ちゃんの背骨は驚くほどにまっすぐです。新生児のウチは、まだ胎内と同じように丸まった姿勢を好む赤ちゃんもいますが、自力で丸める力はまだありません。
この頃の背骨の動きは、ほとんどと言っていいほど首(頚椎)のみの動きです。首を動かすことで、この先立ち上がるにあたり必要となる、重い頭を支える首周りの筋力を鍛えます。
一方、胴体の動きがほとんどないのに大して、赤ちゃんが両脚をピーンと伸ばして空中に浮かせたり、腕と脚をバタバタさせているのを見たことはありませんか? この時期は背骨自体を動かすよりも腕や脚を動かすことで、今後歩いたり腕を自由自在に動かすために必要な胴体の強さを養っているのです。実際にこの動作を大人がやると、大変な動きです!
股関節や肩がスムーズに動かせない身体を想像してください。歩く、走る、誰かに手を振る……などなど普段の動きに支障が出ると思いませんか?
腕や脚を振り回しても安定していられる
背骨や骨盤周りの筋肉を、腕や脚を動かすことで
コツコツと鍛えているのですね。