HOMEback number > Baby,Step by step!!


text & illustration by
宮川万衣子 miyakawa maiko

<profile>
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後、不動産会社勤務を経てバレエダンサーに。自身も舞台に立ちながら、フリーランスのバレエインストラクター、ピラティスインストラクターとして数々のジムやスタジオで活躍中。
「All About」の「ストレッチ」担当ガイドとしても活動中。
2014年に第一子を出産。



こんにちは。ポールスターピラティス・インストラクターの宮川万衣子です。
前回の『ねんね期&寝返り期』から引き続き、2回目のテーマは『ずりバイ期&ハイハイ期』。
寝返りが出来るようになり、背骨をツイストさせたり、そこから戻したりする力がついてきた赤ちゃん。うつ伏せで背中を起こす筋力と、上半身を支える腕力がついてきたら……いよいよ自力で前に進むときがやってきます!
早速、赤ちゃんの代名詞とも言えるこの『ずりバイ期&ハイハイ期』を見て行きましょう。

「前に進む」とは言ったものの、「ずりバイ」の始まりはほぼ後退からスタートします。
それもそのはず。腕はうつ伏せで上半身を起こす事が出来るようになったばかり。身体を前に運ぶためには、床を押しつつ腕を胴体方向へ引く「コントロール」が必要になるのです。

しかも身体を前に運ぶためには、腕だけでなく脚の力が必要となります。脚を大きく動かすには、同時に背骨も動かすことになり、結局、全身を総合的にコントロールしなければならないという大きなチャレンジに直面するのです。

同時に複数のタスクをこなすというのは、赤ちゃんにとっては大変難度の高いもの。
そんなとき、寝返りの時と同様に重要なのが「モチベーション」です。 興味の対象を追いかけて習得した寝返りと同じく、この時も目に入ったオモチャなどに近付きたい一心で身体動かす赤ちゃん。そこから、腕と同時に脚を動かすと身体が動くというのを経験的に学習していきます。

それでは、ずりバイを習得するまでの動きを詳しく見てみましょう。

うつ伏せの状態で背中を反らし、前方に欲しいオモチャなどを見つけると、赤ちゃんはまずオモチャに向かって片手を伸ばします。このときの赤ちゃんを上から見ると、反対側の脚を長くして、斜め方向に身体を伸ばしているのが分かるでしょう(左図白矢印)。

対角線上に伸ばす動きを見せるとき、実際に働く筋肉は寝返りの練習で鍛えた腹斜筋(赤矢印※実際にはお腹側)です。腹斜筋は背骨の回旋だけでなく、背骨をサイドに曲げる際に最も大きな力を発揮する筋肉です。

手を伸ばすだけでは届かないことが分かると、手や肘で上半身を支え、片方ずつ膝を脇腹の方へ引きつける動きを見せます。つま先を地面に引っかけるために足の指を返し、小さな接地面で脚の力を地面に伝えようともがきます。

ここで多くの赤ちゃんが、地面を蹴られないという壁に直撃します。
床方向につま先を押しつけつつ、後方に蹴る。この複合的な動きの方向性をうまくつかめないことが多いのです。

その結果、腕で床を押す力ばかりが大きくなって後ろに下がってしまうという事態に。視力も付いてきて、物との距離感も分かってきているこの時期。もがくほどに近づきたいオモチャから遠ざかり、泣いてしまう赤ちゃんの姿も可愛いものです(本人は必死なので、可愛いと笑うのも悪いのですが……笑) 。

このとき、親御さんが足の裏に手を添えて前進するのを助ける光景を目にします。けれども、この方法で手助けをすると、そこに足がかりがないと進めない子になってしまします。


ずりバイ・ハイハイの時期はとても短いですが、この先一生、地面を蹴る=歩くという動作は続きます。

地面とつま先の正しい関係を築くためにも、ずりバイで上手に地面を蹴られない赤ちゃんには、足先を地面に押しつけるように助けてあげてくださいね。

力の方向のヒントをもらった赤ちゃんは、そのうち地面の方向に力を入れればいいんだということを自分でも学習します。

足の指を引っかけることで前へ進む力を得た赤ちゃん。実はこのとき、で体重を支えつつ身体の方へ引くという「押し引きの絶妙な力加減」の練習もしているのです。

01 / 02






本サイト内の記載内容についての無断転用を禁じます。
Copyright(c)2008-2014 econ & Hong Ae Sun