そこは、いつもと違う散歩道。 ひとけのない公園にふと足を止めた。 住宅街の中の、遊具もないような小さな公園だった。
桜にカメラを向けたのは、 ほんの記念撮影のつもりだった。 レンズの向こう側をのぞいた瞬間、 思わず息をのんだ。
昼下がりに人知れず舞う、 はかない淡雪のような景色が広がっていた。
あくまでも淡々と時間を刻む平日の午後。 はかないほどまぶしい光に透けて、 この一瞬を寄り添う桜色と空色が、 小さく心を揺さぶる。