知念勇喜 chinen yuuki
profile
1960年生まれ。沖縄の老舗企業・タカダグループにて、フィットネス・カルチャー事業部の部長として波之上スイミングスクールと3店舗のTSUTAYAの運営に携わる。TSUTAYA那覇新都心店は、TSUTAYA STAFF CONFERENCE 2008にて準グランプリを受賞。二女を持つ父親として地域の絵本朗読活動に参加しながら、企業の子育て支援にも力を注いでいる。


タカダグループ80周年記念イベントの一環として行った絵本作家・きむらゆういちさんを招いての講演会でのひとこま。
沖縄で子育てするたくさんの 親子が集まる盛大な行事となった。




そんな知念さんは、ご自身でも絵本の朗読活動に参加なさっています。

「始めてから2、3年ぐらいなので、まだまだ素人で……。もっと朗読が上手な方もたくさんいると思います。なんというか、マニュアルにそっての読み聞かせはできないんですね。読んでいると、つい感情移入してしまうんです」

でも、それでいいなじゃいか、と、知念さんは言います。


「男親は、それでいいんじゃないかな、と思うんです。母親がやっているようにはできないけど、父親には父親としての子どもとの接し方があると。外では堅い顔して働いているお父さんが、家に帰ったら子どもに『いないいないばぁ〜』とか読み聞かせしてたら、それだけで面白いじゃないですか」

確かに……。
逆に、子どもたちにとっては『家でいるお父さん』の顔しか知らないので、どんな風に仕事しているのか、わからないものです。
でも、知念さんの娘さんは、子育て支援活動に力を注ぐ父親の姿を、しっかりと見ていました。

「去年かおととしぐらいに、子どもが言ったんですよ。『自分の父親がTSUTAYAで働いていることが、誇りだ』って。それはもう、うれしかったですねぇ。それは、今までやってきたものが実ってるのかなぁと、これに優る喜びはなかったです」

そんな知念さんとご家族の関係は、これからどうなっていくと思いますか?
「家族はいつか、離れていくものだと思います。うちの子はまだ14歳と10歳だけど、これからいろいろあるだろうし、子どもが成長したら家を出ていく。悪い道にいくかもしれないし(笑)。でも、それでも、親父がこういうことをやってたら、必ず戻ってくると思うんです。他の意味で父親としてできてるかはわからないですけど、今はこの読み聞かせの活動に、力をいれていきたいですね」

***

タカダグループさんが主催するバーベキューパーティに参加させてもらったのですが、驚いてしまいました。社員の方たちのほとんどが、ご家族も同伴で参加されているんです。しかも、みんな、ものすごく楽しそう!

企業が子育て支援に取り組むことで社員たちの当事者意識も高まり、それが影響して家族の仕事への理解も深まる。これ、見事なる相乗効果です。
きっと、始めるのも継続するのも、とても難しいことだと思います。
でも、そこらじゅうにある笑顔の数々が、その成果を証明しているとしたら、こんなに実り多き活動はありません。
がんばれ、がんばれ、日本企業!

さて、奇しくも前回と今回と、子どもや子育てに関する話が続きました。
現在子育て真っ最中の方、まだ子育てとは無縁の方(私です)、すっかり子育てを卒業された先輩たち……など、立場はいろいろですが、私たちは皆、未だかつて経験したことのない少子時代を生きていくことになります。
未曾有の枯れ地に希望の水をみつけられるかどうかは、私たち全員の意識にかかっているのだと、強く感じる次第です。
さて、どうしましょうか。
(了)

01 / 02 /

text by Hong Ae Sun
 
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