たいせつインタビュー　econ-mag

もうひとつ、星山さんにとって「たいせつなこと」を教えてくれました。
「自信を持つことや、客観的に自分を育てるという視点を持つことって本当に大事だなと感じています。子供の頃は親や家族が大切に育ててくれましたが、社会に出てからは会社や環境が育ててくれるという受け身のスタンスでは心許無い。自分自身で「自信」となるベース、『核』作りをすること。それには自分で必要性を感じることを実行する――例えばビジネススクールで学ぶ、毎日早起きしてウォーキングやエクササイズをする、本を1日3冊読む、など。計画通り一日を過ごせたら達成感があるし、その積み重ねが、自分の自信に少しずつつながっていくように思います。基本的に、真面目な性分なのかな（笑）」
やると決めたことは自分自身妥協せず、必ずやり通すストイックな姿勢。その先には、何があるのでしょうか。
「自分を高めていくことで視点が高くなり、視点が高くなると今まで見えなかったものも見えるようになる。そうすると、発想が自由になるんです。いろんなものを許せるというか、へんなこだわりや偏見がない状態で、素直に物事を見られるようになるから。」
たとえば、5階建てのビルが並ぶ中で3階にいると周りに埋もれてしまって見えないけど、5階まで上がると視野が広がる。今まで見えなかったものが見えてくる。10階まで上がるともっと遠くまで見渡せる。星山さんは、階段を一段ずつ上っていく作業を、毎日の中でコツコツと積み重ねているのでしょう。

さらに星山さんは、最近では人だけでなく、土地や建物にも縁を感じるようになった、と言います。
「今、会社は不動産仲介業ですが、個人ではアジアの国での不動産投資や、ハワイでの事業投資なども計画進行中です。名付けて『未来への投資』。なぜアジアやハワイかというと、バックパッカーで各地を回った時の衝撃、そして日々動きを見ている為替や、新聞を読んだり勉強会に行ったりしてインプットされていく情報の中で、いろんなトピックスが自然にむすびついたんです。
私という人間は、直感的に、『私には●●だ』と思えば、すぐに荷物をまとめることができます。日本以外にも拠点を持って、人との縁、土地との縁を、自ら作っていきたいと思っています」
直感が働いて行動を始めた星山さんですが、それは、今までにはなかった発想だったと言います。
「以前の私だったら、そのためにはどんなコスト（時間、お金、労力）がかかり、フローがこのくらい、利回りがこのくらいで、現実的にそれは無理だ、で終わっていたかもしれません。頭で考えること、目に見えることだけに支配されて目先のことしかできなかったかもしれない。でも今は無理があるとしても、やるんだ、そしてそのためにはどうするか、という逆の発想です。やっぱり自分を笑顔にさせること、心が大きく動くこと、そんな未来に投資したい。達成するまでの過程は自分をさらに前向きにしてくれるはず。それもこれも現実的な制約にとらわれず、自分の直感に忠実に行動できるようになったから」

それはきっと、直感に対する『信頼性』が増したということなのでしょう。
「もちろんその発想は日々の種まきやアンテナを張っているからこそですし、さらにその直感を裏づけできるだけのロジックをひとつずつ固めてプロコンして、確固たるものにしていく作業があってのこと。
そうやって、直感で動いて、その結果それが達成すると本当にうれしいし、それは自分自身の糧、自信にもなります。次の直感とその先の行動にもつながる。だからこそ自信を持つための『核』作りの毎日がたいせつだと思うんです」
そうやって直感によって動いた結果、失敗してしまった場合はどうなるのでしょう……？
「もちろん、今まで失敗したことも多々ありますよ。でも、失敗したとしてもあまり後悔はしないんです。ほろ苦いなんて言葉で済まされない大失敗もありましたが『勉強になった』と思って切り替えが早いのかもしれません。実際に、そうした失敗は必ず次に活かします。
嫌なのは、行動に起こさなかったことに後悔することです。また私も経験がありますが、人から言われて行動したことや、受け身で行動したことであれば、あまり反省もなく学べないものです。それで失敗すると、きっと後悔する。亡くなった祖母や父の言葉も大きいです。『どうせ一回こっきりの人生だからやりたいと強く思えばやるべきだ』と。だから私はいつもきっかけは自分自身です」
自分を信じてやったことが失敗しても、それはこれからの自分にとって必要な失敗。そう思うと、取り返しのつかない失敗なんてないのかもしれません。

「ただ、今までたくさんの方に応援していただき支えていただいたことがたくさんあった割に、自己中心的な自分が強くて自分以外に対しては鈍感というか、皆さんへ感謝をきちんと伝えきれていなくて、それは後悔していますね。若気の至りというか……。
すごくお世話になったのに、もう二度と会えない人だっている。今この瞬間というのはもう二度と来ないという意識が高まってからは、そんなことについて後悔し、今、ようやく徐々に取り戻しています」