ソウル・コソダテ・ニッキVolume.13幼稚園選びはいばらの道~大学受験よりも熾烈!?韓国の幼稚園事情~

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ソウル在住働くママ・くりおんまさんが贈る、
とれたてほやほやの『子育てソウルライフ』!
今回は、
大学受験よりも熾烈だという「韓国での幼稚園選び」について、
その体験談をお届けします!

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2016年2月、娘が保育園の卒園を迎えた。
韓国は2月が卒業、そして3月が入学シーズン。

韓国では、満3歳までの保育園と就学前まで通える保育園とに二分されていて、娘の通っていた保育園は満3歳までの保育園だった。そのため、幼稚園に入るか、もしくは就学前まで通える保育園 に移るのかを迫られた。

どちらともの長所、短所があるらしい。日本とは若干異なり、幼稚園と保育園では教育体制が全く異なる

活発で好奇心旺盛な娘には、幼稚園の方が向いていると判断。中には、満4歳は保育園に通わせて、5歳から幼稚園を選択するケースも多いらしい。

しかし、韓国では、幼稚園の入園はある意味大学受験よりも熾烈だと言われている。特に、我々の住む金浦は幼稚園不足が深刻で、幼稚園入園は戦争とまで比喩される始末だ。

 

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韓国の幼稚園は、大きく分けて2種類がある。国公立と私立だ。どちらの幼稚園も、入園はたいていが抽選で決められる。お受験みたいなものは多くは存在しないが、抽選に向かう保護者の目はお受験さながらである。

国公立はまさしく小学校のプレスクールといった扱いが多く、給食のメニューなども小学校と変わらない。先生らもどこか小学校の先生のような面持ちで、クールなイメージである。また、休みも私立に比べれば多く、延長保育も抽選のため、ワーキングママにはハードルが高い。

私立は、園ごとに特性があり、自分の子どもに合いそうなところを説明会やうわさなどを通して、保護者が吟味する。特性は多岐にわたり、モンテッソーリ教育、自然教育、学習中心教育、芸術系教育、体育系教育などなどである。延長保育は申請すれば受け入れてもらえ、延長保育を申請した場合は夏休みも1週間程度で、保育園と大差はない。

昨年の秋。幼稚園の説明会および抽選会が近づいてきた頃、私は主人と、娘の幼稚園について話し合う時間を持った。私たち夫婦は共働きであるため、娘を最低でも5時までは預けなければいけない。しかし、幼稚園の正規の降園時間は2時半―3時。幸い、どの幼稚園でも延長保育の申請が可能なため、延長保育の申請を決めた。

当時、まだ車を所有していなかった私たち(今春に購入したが……)にとって、家から遠く離れた幼稚園に送るのはどうしても気が引けた。徒歩圏の幼稚園は2箇所のみ。

少し遠方でもバスの送迎がある幼稚園はいくつかあったが、バスに長く揺られての通園は娘の負担になるのではないかというのが、我々の一番の懸念であった。朝から夕方6時まで園にいなければいけない娘にとって、かなり過酷ではないかと考えた。
幼稚園に通わせていて、かつ延長保育をさせている先輩ママたちの話を聞くに、子どもが疲れ切って、バスで昼寝をして帰ってきて、生活リズムが崩れるらしい……。やはりうちの娘には無理ではないかという思いが横切った。
その上、韓国の運転は荒い。本当に荒い。できるだけ短い時間、バスに乗せたいという一番の理由は、その運転の荒さだったかも知れない。そんなわけで「徒歩圏+バスが来てくれる」という2園に絞ることにした。

しかし、たったの2園に絞って抽選で漏れたどうしようという不安はあった。しかし、遠方の幼稚園に当選したからといって通わせるのか……? そう思うと、一か八か、徒歩圏の幼稚園2箇所のみ応募する方がいいのでは……? と、結論に至るまでは紆余曲折があり、壮絶そのものであった……。

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いよいよ、園の説明会および抽選会の日が発表された。なんと、同じ日。しかし、幸いにも開始時間が若干ずれていたため助かった。

2つの園に関する話を聞き、思ったこと。特性が共通する部分が多い。英語重視、運動重視。しかし、大きな相違点がひとつあった。それは、モンテッソーリ。一つの園はモンテッソーリを取り入れていて、もう一つは取り入れていない。モンテッソーリという単語は聞いたことはあったが、どんなものなのかピンと来ない。娘の通っている保育園の先生らや周りのママ友らに話を聞きながら、モンテッソーリの長所と短所を整理していった。

いよいよ抽選会。モンテッソーリでない方の園は、なんと応募した全員を受け入れると発表した。ということは、それだけ人気がなかったという事なのか……?(笑)。とりあえず、合格をひとつ勝ち取った。

そして、モンテッソーリ幼稚園は『待機80番』。「待機」とは、合格者が入園辞退をした際に、繰り上げ合格される順番である。それが80番目……すなわち、80人が入園辞退を申し出なければいけない。絶望的かと思ったが、80番でも可能性があると言われた。

その幼稚園がマンモス園で、一学年150人程度を受け入れるらしい。そして、新設であるため情報がないという事で、辞退者が多い可能性がある。また、モンテッソーリに反感がある親は辞退する。などが要因らしい。

両方の説明会に参加してみた結果、私と主人はモンテッソーリ幼稚園に気持ちが傾倒していた。モンテッソーリがどうのこうのというより、自由にのびのびと教育しながら、礼儀を重んじる教育をするというところに魅力を感じた。

保育園の先生にも相談した。娘がモンテッソーリに耐えられるか。静的な作業が多いモンテッソーリであるが、娘は超動的であるため、私は少し心配があった。保育園の先生と何度か面談し、私が認識できていなかった娘の園での様子などを聞き、モンテッソーリでもやっていけるという事を信じることにした。

あとは、繰り上げ合格を待つのみ……。ハラハラしたまま時間が過ぎる。そして、抽選会から2週間が経ったころ……園から連絡が。繰り上げされたとの事! すぐに入学金を入金し、モンテッソーリ幼稚園の入園が決定した。

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自宅にて、制服を試着する娘。初めての制服に戸惑う表情……

そして、今年3月。娘が幼稚園生になった。ぴっかぴかの年少さん。保育園に長く通っていたせいか、年少さんという言葉に違和感。園服を着た瞬間、とてもおねえちゃんに見えて、年中さんや年長さんに見えたのだが、娘はやっと年少さん。

幼稚園ではモンテッソーリ活動のほかに、英語と体操毎日行う。英語も体操も日本で古くから評価が高いものを「輸入」してきての授業である。日本のものを取り組んだ授業ということで、少しうれしかった。

娘のクラスには偶然にも、日本人ママがもう一人。心強い仲間ができたような気分になった。

娘の幼稚園生活は始まったばかり。今後、どのような成長を見せるか、楽しみでならない。

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入園前のオリエンテーションの日。

***To be continued***
次回もお楽しみに♪

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くりオンマ

<profile>
1980年東京生まれ京都育ち。
大学卒業後、渡豪し、自然と戯れる。
2010年、結婚を機にソウルへ。
2012年4月にソウルで愛娘を出産。
現在は外資系企業でアナリストとして働きながら、子育てにも励んでいる