ロスジェネ男子←→女子の往復書簡【25通目】③「人間関係を断捨離する」って…?

画像_02ロスジェネ男子ライター・大宮冬洋(1976年生まれ)と、
ロスジェネ女子エディター・洪愛舜(1977年生まれ)、
ふたりの「ロスジェネど真ん中世代」が試みる
インターネット往復書簡。
突然ですが、「断捨離」は、お得意ですか……??

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大宮冬洋さま

メールをありがとうございました!
(私からお送りするのがいつも遅くなってしまい申し訳ございません……)

大宮さんからのメール、とても心に響きました。
特に、
>過去や物との距離は広げて、読者との距離は縮めているこの頃です。
という言葉が、胸に刺さりました。

そして、この言葉を聞いて思い出したことがあります。
それは、友人の誰かがFacebookでシェアしていた、見知らぬ誰かのブログに書いた「人間関係を断捨離する」という言葉です。

内容は、
「捨てられない無駄な人間関係に振り回されたり、悩まされたりしていませんか?
情はあるけど自分に必要のない人間関係を『断捨離』することで、心が軽くなるし今まで見えなかった景色が見えてくるでしょう」
みたないものだったのですが、この記事を読んだとき、私はひっかかるものがありました。
それはきっと、
「無駄か」「無駄じゃないか」は、どうやって決められるんだろうか、と思ったから。
そして、
「自分にとって利益がある人」が無駄じゃない人で、それ以外は無駄な人なんだろう、と思ったからです。

でも、人間関係って、本当にそういうものなの?と思います。
利益がある人だから付き合う、何も生み出さない人だから「切る」って、確かに合理的かもしれませんが、とても悲しくなります

私は自分のことを「利益がない人」だと思うので、多分「切られる人」だと思います。
でも、人って「無駄なもの」から面白いことが始まったり、新しいつながりがうまれたりするんじゃないかなと思うし、むしろ、何も生み出さなくても、楽しければそれでいい、人間関係って、そういうものなのではないかなぁ、と……。

なので、私はせっかく出逢えたご縁を「捨てる」ことはできません
捨てられることはあっても、自分から捨てることはきっとない。
でも、そうやって、あらゆる出逢いにしがみついている私は、断捨離できずにモノがあふれる部屋で身動きがとれなくなっている状態と同じなのかもしれません。
そして、
>母が子を思う気持ち、僕にはよくわかりませんが、すごくありがたくてちょっとうざったいです。
という言葉にも冷や汗が……。

そうですね。
「子どもの思い出のものを捨てられない」という気持ちは、子どものためでは全くなくて、自分のための感情であることに気が付きました。

そう思うと、うちの母はものすごい愛情に溢れた人ですが、モノへの執着は一切なくて、私のものも兄のものもガンガン捨てています。
(私が捨てられなくて実家に未だ保管してある中高生時代の思い出の品々も早く処分したいみたいで苦情が入ります……)

友人にも、子どもたちが持ち帰ってきた工作作品を、確認したら家の中にも入れず玄関先でゴミ箱に捨てる、という人もいます。
彼女だって、決して愛情がないわけではない。

モノと愛情は、比例しないのですよね。
学ぶことが多いです……。

すっかり秋らしくなりましたね。
でも、今日の東京は30度越え。
おそらく、今年最後の「夏」です。

季節の変わり目、どうぞご自愛ください。

洪愛舜拝
2016/10/04 9:34

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<大宮冬洋 プロフィール>

1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。一橋大学法学部卒。新卒入社のユニクロをわずか1年で退社し、編集プロダクションを経て2002年よりフリーライターに。 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる小さな町に居心地の良さを感じるようになる。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。現在は「蒲郡の中央線化(もしくは鎌倉化)」を模索している。
月の半分ほどは門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。

Yahoo!ニュース個人にて、「ポスト中年の主張」を配信中。
「キャリア女子ラブストーリー」(日経電子版「WOMAN SMART」)、「ニッポン独身くん図鑑」(『婚活のミカタ』)、「晩婚さんいらっしゃい!」(東洋経済オンライン)、 「『仕事恋愛』の理論と実践」(日経BPネット)などのweb連載のほか、雑誌連載も。

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著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著、NHK出版生活人新書)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵〈ストーリー〉』(ぱる出版) がある。最新刊は『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)。
omiya

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<洪愛舜 プロフィール>

1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。
『目黒駅前新聞』編集長。
5歳児&3歳児を子育て中。
ブログ『目黒より、econがお届けします』を不定期更新。