HOMENO GAME, NO WORLD > P.02

<著者プロフィール>
内田 洋平(うちだ ようへい)
1978年生まれ。
幼少より3度の飯よりゲーム好きのコアゲーマーとしてすくすくと成長。
途中、海外で生活してみたり、有限会社の代表をやってみたりと自分でも適当な人生送ってんなぁと思いつつ、いつのまにか某大手ゲーム会社の子会社にてオンラインゲームの「コンテンツプロデューサー」という立場なってる行き当たりばったりな男。
小さなころからゲームに関わる仕事がしたいと思っていたら、今までついた仕事は全てゲーム関係という理想の状態に。
いや、現実はなかなか甘くないなんて愚痴は言いませんよ。
あぁ、この先ゲーム関係以外の仕事に就くことは無理なんだろうなぁ〜。

ゲームの歴史を変えた「脳トレ」。
そのヒットの要因は……

まず、「脳トレ」です。
正式名称は「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」(長い……)といい、簡単に説明しますと、このソフトは脳を活性化させるための問題が詰まった、トレーニングソフトです。

DS本体の爆発的な普及に大きく貢献したソフトで、その続編である「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」(さらに長い……)と併せて800万本を超える販売という怪物タイトルです。
(※注1)

ヒットの要因として諸説ありますが、大きく3つの要素があると私は考えます。

DSのタッチスクリーンという新しい操作方法
  DSの大きな特徴として、下部画面の触るだけで操作可能な『タッチスクリーン』というものがあげられます。その直感的な操作方法は、今まで両手を使って操作していたゲームコントローラーの複雑さを取り除き、ゲームをしたことのない人に対しても抵抗無く受け入れらました。これが最大の要因になったと考えられます。

 


「脳の活性化」という実用的な内容のゲーム化

  それまでに存在していた実用系ソフトというのは多く存在していましたが、退屈な作業を繰り返し行うというとてもゲームとは呼べないものばかりでした。ですが「脳トレ」は、階級(ランク)の表示や自分の脳年齢のチェック、プレイすることでスタンプを手に入れ、一定数ごとに新しい問題やトレーニングが表れるなど、ゲーム的な要素を随所に組み込み、ユーザーのモチベーションを高めることで、達成感を与えることに成功しています。

  

とっつきやすさ
  「脳トレ」でできるトレーニング内容は計算をさせたり、文章を音読させたりと単純なものになっています。実用系ゲームは、毎日繰り返し行わせることを主眼においていますので、単純明快であることは重要です。そして、飽きが来ないよう数多くのトレーニングを用意していますが、毎日段階的に追加されることと単純明快であることによって、自然に内容を理解することができ、複雑さを感じずに遊ぶことができます。継続してプレイしたユーザーは、当然効果が出てくるため、それが口コミで広まり、さらに販売を伸ばす要因になったと考えられます。

当然このほかにも、任天堂自体の広告戦略の上手さや、DS発売まで映画的表現の傾向が強くゲームがマンネリ化状態に陥っていたため、革新的なゲーム機として注目されたゆえというのはあります。しかし、やはりゲーム機はソフトあってのもの。そういう意味でも、「脳トレ」が与えた影響は、計り知れないものがあるのは間違いないでしょう。

※注1 ソフトの販売数は筆者調査によるものです。
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