<profile>
大宮冬洋 omiya toyo
1976年埼玉県生まれ。フリーライター。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。雑誌、web、書籍などで活躍する。著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著、NHK出版生活人新書)、『バブルの遺言』(廣済堂出版) がある。最新刊は、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵〈ストーリー〉』(ぱる出版)。


BPnetビズカレッジにて『「ロス女」vs「ボク様」50番勝負』を好評連載中。
ブログ『実験くんの食生活』を毎日更新。
2011年9月より、毎月1回主催イベント『スナック大宮』を開催。

洪愛舜 Hong Ae Sun
1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。





     
 

洪愛舜さま

こんにちは。大宮です。
僕もなんとかやっています。
洪さんが「とても元気」とは嬉しいですね。
断酒&散歩習慣とは最高ですね。

僕は6月始めに知人から「糖質ダイエットは本当に効く。糖質さえ控えれば肉や脂はOK。焼酎もOK。だから続けられる」と聞き、ネットで詳細を調べて実践してみました。
最初の2週間ほどは炭水化物などの糖質は禁止にし、その後は少しずつ糖質の摂取量を増やしてもいいのだそうです。
僕はご飯が大好きなのでかなり辛いかな?と思っていたのですが、「会食などのときは少し食べるのは仕方ない」という甘めのルールにしていたので2週間は続きました。
3週目からは夜だけ炭水化物や甘いものを控えるようにしていたら、2ヶ月ほどで3キロ減を実現! 68キロが65キロになりました。

服が合わなくなってしまうというデメリットはありましたが、3キロでも減ると体が軽いです。体調も良くなったような気がします。

しかし!
元々ご飯や甘い物でストレス解消をしていたので、その勢いがお酒に向かってしまっています。
以前はなかった晩酌の習慣までついて、週に一度の休肝日を確保するのがやっとな状況です。
あまりお酒に強い体質ではないので(家系的に肝臓が弱いのです)、気をつけないと…。

ストレスというかプレッシャーの原因は、やはり仕事と生活にあるのだと思います。
ただでさえ不況な出版業界が震災以降はさらに厳しくなっていますよね。
僕も準レギュラーのように書いていた業界誌の担当ページ数が大幅に減ってしまい、影響を受けまくっています。

それで考えました。こういうときこそお客さんと向き合うべきだ、と。
僕は今まで編集者の方(洪さんもそうですね)をお客さんだと思っていたのですが、最終的に自腹を切って雑誌や本を買ってくれるのは読者です。
お金をくれるのは出版社や編集者だけど、役割としては彼らと僕はビジネスパートナーですよね。一緒になって読者に喜んでもらうことを考えなくちゃいけない。

僕は外食が好きなのですが、みんなが財布の紐を締めているときにも繁盛している店と、一気に客足が鈍ってしまう店がありますよね。
当たり前のことですけど、その違いは本当の固定客を持っているかいないかだと思います。
固定客でも、「近いから」「安いから」「オシャレっぽいから」ぐらいの気持ちでなんとなく通っていた客は、有事のときはさらに安い店などに逃げてしまいます。
逆に、「あの店だけは潰したくない」「行けば元気がもらえる」ぐらいの熱い思いを持ってくれている客がいれば、経済的にも精神的にも支えてもらえるでしょう。
そんな店に共通するのは、「自己満足ではない個性」であるような気がします。

僕自身を振り返ると、読者の「代理」である編集者を喜ばせることばかりを考えて文章を書いてきました。
それはそれで間違っていないとは思いますが、これからの時代は誰もが直接にお客さんと接して、意見交換をしながら自分の仕事を磨いていくべきだと感じています。

また例え話になりますが、この夏から農家の友人が作る野菜を月一で買っています。
その友人は、農協を通さない直販形態で農業を営んでいます。
利益率が高いというメリット以上に、食べてくれる人と直接やり取りができることがすごく楽しいし参考になると語っていました。僕たち客としても、毎月届くダンボールに野菜ごとのレシピや保存法、さらには手書きの手紙までが入っているのが嬉しい。
ちなみに、顧客は120件でも夫婦二人で田舎暮らしをするには十分な収入を得られるそうです(初期投資は必要ですけど)。一件一件と丁寧にコミュニケーションしたいので、200件が限界だとも言っていました。

僕の場合、取材費・交際費などを含めると月に50万円の収入はどうしても必要です。
でも、フリーライターで50万の固定収入を得るのはけっこう難しい。
現在は、その約半額は連載などの固定収入で、もう半額は単発の頼まれ仕事で得ています(得られないこともあります)。
毎月下旬になると、「来月も単発仕事がもらえるかな」と不安で眠れなくなったりします。
で、寝酒を飲んでしまったり…。

ただし、出版業界には農業のような縛りはないので、農協(出版社)と仲良くお付き合いしながら、直接販売をすることも可能です。
「月に500円なら大宮の文章にお金を払ってもいい」というお客さんを1000人作るべし、ということですね。
そんなお客さん、現在は何人いるかな…。親兄弟も含めて10人ぐらいな気がします(笑)。

でも、日本中いや世界中を探したら、1000人ぐらいは僕の文章に共感してくれる物好きが見つかるのでは、という密かな自信もあります。

座して待っていても仕方ないので、今月(9月)から月一で読者との交流会を自ら企画することにしました。
地元の行きつけのアジア料理店の二階を貸し切って、「スナック大宮」のママである僕とグダグダしゃべりながら飲み食いするという趣向です。
3時間半出入り自由で3000円(2ドリンク+おいしいアジア料理)。安いでしょ?

それでも、お一人につき500円は僕の懐に入ることになっています。まあ、20人程度の集客だと自分の飲み代で消えちゃいそうですけどね…。

お客さんが少なくても、年内は飽きずに開催してみようと思います。
このイベントで儲けようとは思っていませんが、平日の夜にわざわざ僕に会いに来てくれる熱心な読者の方と直接話すことで、自分が何を求められているのか、この社会の中にどんな形で貢献して対価をもらっていくべきなのか、が少しずつ見えてくるような気がするからです。
繁盛する外食店のように、「自己満足ではない個性」を発見して磨いていきたい。

つい長くなってしまいました。しかも、洪さんのメールに書き出し部分しか対応していませんね…。
どうもすみません。

 

 

 

大宮冬洋

2011/09/18 15:38
 
     


01 / 02 / 03 / 04







本サイト内の記載内容についての無断転用を禁じます。
Copyright(c)2008-2011 econ & Hong Ae Sun