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大宮冬洋 omiya toyo
1976年埼玉県生まれ。フリーライター。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。雑誌、web、書籍などで活躍する。著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著、NHK出版生活人新書)、『バブルの遺言』(廣済堂出版) がある。最新刊は、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵〈ストーリー〉』(ぱる出版)。


BPnetビズカレッジにて『「ロス女」vs「ボク様」50番勝負』を好評連載中。
WEBぱるマガジンにて『大宮冬洋の「わたしたち、ユニクロで働いていました」』を好評連載中。
ブログ『実験くんの食生活』を毎日更新。

2011年9月より、毎月1回主催イベント『スナック大宮』を開催。次回は4月18日に開催予定。

洪愛舜 Hong Ae Sun
1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。





     
 

洪愛舜さま

こんばんは。大宮です。
では、お言葉に甘えて話題を変えてもいいですか?
最近、ようやく「スキルアップ教」から脱会できつつあるという話をしたいと思います。
僕はもともとガリ勉少年だったので、現在に至るまで「世の中で求められるスキルをまんべんなく高めないと落ちこぼれる」という危機感に駆られてきました。
大学受験までは英数国理社の5教科、大学入学後は語学IT会計の3教科です。

社会人になってからも、ときどきTOEICの勉強をしてみたり、ITスキルを改善する努力をしてみたり、簿記の問題集を買ってみたり、また語学に戻って中国語のスクールに通ってみたり、いろいろして10年が経過しました。
結論を言いますと、まったく身についていません。膨大な時間と金を無駄に費やしたなあ、という感慨が残るだけ。

身についていない原因は複数あると思いますが、最大の要因は「語学にもITにも会計にもそれほど興味はなくて、自分の仕事には必要なわけでもない」ということでしょう。もちろん、この3大スキルがあれば便利でしょう。しかし、僕の職業(フリーライター)にとっては必要不可欠とは言えません。その証拠に、仕事が暇になると3教科の勉強がしたくなるのに、忙しくなると見向きもしなくなります。

一方で、「忙しくなればなるほど必要性と勉強不足を痛感する」ジャンルがあります。それは読書です。

様々な種類の仕事に追われているとき、一番の支えになってくれるのは今までの仕事経験ですよね。「追い詰められても最後はなんとかなる」と励ましてくれたり、「この仕事はこんな段取りで進めればいい」とアドバイスをくれたり、「ここは手を抜いちゃダメだ。きっちりやれ」と叱ってくれたり。仕事経験ほどありがたい味方はいません。

そして、二番目に強い味方は読書体験なのです。読んだという実績だけのために流し読みした哲学書などはまったく無意味ですよね。
でも、全身が震えるほど感動しながら繰り返し読み込んだ本は、知らず知らずのうちに僕の体の中に染み込んでいて、原稿を書いている途中で湧き出してきてくれることがあります。
それが情報や知識である場合もあれば、文章の展開の仕方だったり、言葉選びだったりします。

真似をしているつもりはなくても、大好きな作家の考え方や物言いをパクってしまっていることも少なくありません。「受け売り」ではなく「影響を受けている」と思うことにしています。

例えば今は田辺聖子の恋愛短編集を読んでいます。
僕はこの人の「いい男とは?」「いい男女関係とは?」という議論がとても好きで、思わず「ええなあ。そやなあ」と下手な大阪弁で相槌を打ちたくなるほどです。確実に影響を受けていますね…。

田辺さんの他にも「すべての著作を読みたい」と思える書き手が10人ほどいるので、最近は、三食の前後や電車での移動時間、就寝前の1時間ほどをすべて読書に充てるようにしています。
忙しければ忙しいほど、読書の必要と効果を感じるからです。
逆に、語学IT会計は「得意な人に任せておけばいいや」と割り切れるようになり、なんだか気が楽になりました。

すみません、本当に話題を変えてしまいました。
糠みそ、大好きです。発酵食品を毎日食べるように心がけますね!

大宮冬洋

2012/03/28 17:53
 
     

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