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ロスジェネ男子ライター・大宮冬洋(1976年生まれ)と、ロスジェネ女子エディター・洪愛舜(1977年生まれ)、ふたりの「ロスジェネど真ん中世代」が試みるインターネット往復書簡、第8回目です。『女の幸せって何?』という洪からの問いかけに対し、大宮氏はどうこたえるのでしょうか?


<profile>
大宮冬洋 omiya toyo
1976年埼玉県生まれ。フリーライター。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。雑誌、web、書籍などで活躍する。著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著、NHK出版生活人新書)、『バブルの遺言』(廣済堂出版) がある。最新刊は、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵〈ストーリー〉』(ぱる出版)。


BPnetビズカレッジにて『「ロス女」vs「ボク様」50番勝負』を好評連載中。
WEBぱるマガジンにて『大宮冬洋の「わたしたち、ユニクロで働いていました」』を好評連載中。
ブログ『実験くんの食生活』を毎日更新。

2011年9月より、毎月1回主催イベント『スナック大宮』を開催。次回は4月18日に開催予定。

洪愛舜 Hong Ae Sun
1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。



     
 
大宮冬洋さま

こんにちは。
お元気でいらっしゃいますか?
私は元気です。
が、先週、子どもが初めて病気をしまして(ウィルス性胃腸炎という、子どもがかかる定番のやつです)、症状はすぐに治ったのですが、体力が回復するまで外出できず、かと言って家に誰かを招くわけにもいかないので、しばらく引きこもり生活でした。
その間予定していた約束はすべてキャンセル、楽しみにしていた遊びの会合も、仕事がらみのイベントも、すべてキャンセル。。。
乳幼児を抱える生活に「病欠」はつきものですが、自分の身にふりかかると、へこみます。
そして、私、我ながら子育て生活を満喫してるなぁと思うのですが、その全ては子の健康な成長の賜物なのだと実感しました。
とにかく、子の免疫力がどこまでも上がり続けることを祈るばかりです。。。

さて、大宮さん。突然ですが……
最近私、「女の幸せって、何なんだろう」と、よく考えるのです。
同年代の子育て中の方に、いろいろ話を聞いていると、ちょうどこの4月から子どもを保育園に預けて、育休明けで職場復帰される方が多いんですが、いざ復帰を目の前にすると、子どもと離れ難い、育休をもう半年延長したい、なんならこのまま辞めてもいいかな……という話を聞きます。

彼女たちの多くは、大学を出て10年くらい、「産休&育休をきちんととれる会社」で「第一線」で働いてきて、社内である程度のポジションを築いてきた方々です。
恐らく、「キャリアアップ」を目指してがんばってきたのだと思います。
そして30代で子ども産みました。
さて、これからどうするか……。
実際のところ、「キャリアアップ」と「子育て」の両立はとても難しいでしょう。
保育園に預けると言っても、病気をすれば休まなければならないし、これまでのように残業や接待もやりにくくなる。
(よほど恵まれた環境ではない限り)今までと同じように働けない状況に加え、いつの間にか芽生えてきた「母性」なるものが、上述のような「子との離れ難さ」を生み出し、私、何のために働いているんだろう、とか思っちゃったりもする。
仕事は代わりがきくけど、この子の母親は私しかいないのに……とか思ったり……。
いろいろな意味で、子どもがいるとキャリアアップを追い求めるのは難しいのです。

それなら、「子無し」の人生を選択してキャリアアップを追い求めるのが幸せかというと、それもまた違うように思うし……。

私たちの世代は、「男女雇用機会均等法」が施行される頃がちょうど進路を決める時期と重なったこともあって、「女も自立しなきゃ」「自分らしい生き方をしなきゃ」という考えが進路決定に刷り込まれているように思います。
だから、けっこう、がんばってきた。
それで「ここ」まで来たけど、この進路の先がどうなっているのかは、自分でもわからないのです。
もしかすると、自立とかキャリアアップとか考えない子の方が幸せなんじゃないの?
とか思ってしまったり……。
結局、そこそこに勉強してそこそこに就職しそこそこ働き、ある程度不自由なく暮らせる旦那を見つけて結婚して子供を産んで育てて、子育てが一段落したところで「趣味的」な活動に精を出す……みたいなのが幸せということなの……!?!?
今、自分の中にある「働きたい」「仕事で結果を残したい」みたいな思いそのものが「幸せ」を阻害しているのか……??

と、そんなことをずっと考えてしまっています。
(なんだか思考をつらつらと吐露してしまって、もはや書簡ではないですね……すみません……)
今、女児を育てているので、特にこんなことを考えるのかもしれません。
この子はどんな風に育つのかなぁと思うと……。
大宮さんがこの問題についてどう思われるか、非常に興味があります。
いかがでしょうか……。

話は変わりますが、今年の春は花粉が少なくて過ごしやすいですね。
私は、生まれて初めて花粉症の薬を処方してもらったこともあって、ほとんど症状を感じないまま春を楽しめそうです。
大宮さんも、健やかに過ごされていることを願います。
ではではまた……。

洪愛舜

2012/03/16 1:33
 
     


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