洪愛舜さま

こんにちは。大宮です。

結婚の相談にのる側の当事者意識として、「相談してくれる子が可愛いから」という洪さんの理由はシンプルかつ力強いものですね。
僕も、面と向かって「彼氏が結婚してくれない。どうすればいいですか」とか「出会いがないのでいい人を紹介してください」などと相談されたら、その相手に情が移ってしまうと思います。

というわけで、もう少し親身に答えることにしますね。

「結婚したがらない男はなぜ結婚しないのか？」というテーマに置き換えて、自他の体験を踏まえながら、男性側の心理を書いてみたいと思います。

いま付き合っている彼女がいるのに結婚したくない理由は、仕事と恋愛の両面において納得感と見通しが得られていないからです。
ぼんやりとした結婚願望はあるのに30歳を過ぎても結婚していない男性は、良く言えば慎重で、悪く言うと勢いがありません。何の見通しも立っていない20代のうちに、エイヤッと結婚することができなかったから、現在も独身なのです。

「これがオレの仕事だ。やりがいもあるし、自分に向いている。努力と実績を重ねていけば食いっぱぐれることもないだろう」という気持ちに至っていない場合は、自分の家族を作るという責任は負えません。

実際の結婚は違いますよね。生活力のある明るい女性と結婚すれば、「責任」を一人で負う必要はありません。一人暮らしよりも生活は好転するものです。でも、未婚の男性にはそのような想像はしにくいでしょう。僕たちの世代は、仕事人間の父親と専業主婦の母親に育てられた人が多いため、男性の結婚へのハードルは高いものになっています。
非正規雇用で低収入の男性は正社員と比べて未婚率が高いという各種のデータがありますよね。女性からモテないというよりも、男性本人が「現状では結婚できない。もっといい仕事に就いてから……」と考えて婚活を控えているのが現実だと思います。

恋愛も仕事と事情は似ています。納得感と見通しが重要なのです。

大卒層の場合、男性と女性では「モテ期」が5〜10年ほどズレるものですよね。女性のモテ期が終わりかけている20代後半から30代前半で、仕事にも遊びにも自信をつけた男性は人生初のモテ期を迎えていることが少なくありません。
学生時代や新人時代は遠巻きに見ていたような「高嶺の花」からアプローチされたりするのです。彼は経験が少ないだけに舞い上がってしまいます。そして、「来年はもっと素敵な女性と遊べるだろう。そのうちに、とてつもない美人と結婚できるかもしれない」という甘い妄想を抱くのです。いま付き合っている女性と結婚することに納得感はなく、「もっといい女性がいたのでは、と後悔しない」という見通しも持てません。

では、そのような彼氏に結婚の決断を促すためにはどうするべきでしょうか。
締め切りを設けて現実感を持たせるしか方法はありません。

「今年中に婚約しないのならば別れる」といった内容の宣言を突きつけましょう。時間を区切られると男性は急に我に返り、現実を見つめるものです。
「冷静に振り返ってみれば、今の彼女が至上最高の女性だ。仕事は不安定だけれど、それを理由にして彼女を失いたくない」という覚悟が据わるかもしれません。

言い方は工夫したほうがいいでしょう。「結婚してくれないなら別れる」という表現では、自分がどうしても彼氏と結婚したい（その通りなんですけどね）というニュアンスになってしまいます。それでは将来に禍根を残しかねません。男性は追い詰められると元気を失いがちだからです。形だけでも男性から追いかけさせるのが鉄則でしょう。
「できればあなたと結婚したかったけれど、なかなか結婚してくれないので仕方ない。私もモテないわけじゃない。あなたと別れて他の男性と一緒になるわ。今までありがとう。元気でいてね。さようなら」ぐらいのさっぱりした言葉で臨んでください。本当に別れてしまうかもしれませんが、相手への不満を抱えたままダラダラと付き合い続けるよりはいいと思います。

男は度胸、女は愛嬌などと昔は言いましたが、現在は「女は度胸、男は愛嬌」の時代です。優しさと慎ましさだけでは「慎重すぎる男」と結婚できません。サムライになったつもりでがんばってみてください。