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ロスジェネ男子ライター・大宮冬洋(1976年生まれ)と、ロスジェネ女子エディター・洪愛舜(1977年生まれ)、ふたりの「ロスジェネど真ん中世代」が試みるインターネット往復書簡。17通目のテーマは、「祝福されない恋愛や結婚」について! 今回は、大宮氏のメールから始まります。


<profile>
大宮冬洋 omiya toyo
1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。一橋大学法学部卒。新卒入社のユニクロをわずか1年で退社し、編集プロダクションを経て2002年よりフリーライターに。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる小さな町に居心地の良さを感じるようになる。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。現在は「蒲郡の中央線化(もしくは鎌倉化)」を模索している。
月の半分ほどは門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著、NHK出版生活人新書)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵〈ストーリー〉』(ぱる出版) がある。最新刊は『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)。

Yahoo!ニュース個人にて、「ポスト中年の主張」を毎日配信中。
他にも、「お見合いおじさんはみた!」(日経ウーマンオンライン)、「復興ストーリー」(google「イノベーション東北」) 「『仕事恋愛』の理論と実践」(日経BPネット)、「女の言い分、男の言い分」(プレジデントオンライン)などのweb連載のほか、雑誌連載も多数。
ブログ『実験くんの食生活』を毎日更新。
東京・西荻で主催イベント『スナック大宮』(第三水曜日18時半〜)を
毎月1回開催している。

洪愛舜 Hong Ae Sun
1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。



     
 
洪愛舜さま

こんにちは。大宮です。
大ヒット中のNHKテレビ小説『花子とアン』を熱心に見ています。
その中で、仲間由紀恵が演じる蓮子が人妻の身でありながら大学生と密会を重ねる「道ならぬ恋」が印象的です。
主人公である親友の花子(吉高由里子)がとがめると、蓮子は「誰に嫌われてもいいから、この恋に殉じたい」という趣旨の激しい言葉を返します。

最近、自分でも同じような体験をしました。僕が道ならぬ恋をしているのではありませんよ。
20歳以上も年の差がある新婚夫婦について「不自然なことをすると家族をはじめとする親しい人を失うリスクが高まる」とある飲みの席で口にしたら、同席していた年上女性から「本人たちが幸せならば周囲がどう思うかなんて構わないでしょう。他人の目を気にして恋なんてできない」と反論されたのです。
結婚して愛知県に住み始めて2年。僕はすっかり保守的になってしまったのだと感じて愕然としました。20代の頃は自分も人妻と付き合ったりしていたくせに……。

恋愛や結婚の目的は、「幸せになること」ですよね。独り身も気ままでいいけれど、何か満たされない思いを抱えている。
それを受け止め合い、一緒に過ごすことを喜びにできる人は誰なのか。まさに伴侶を見つけることが恋であり結婚なのだと僕は思います。
ただし、刹那的で一方的な恋と、長期的で双方向的な結婚では性質が異なります。

前者はまさに個人の自由です。アイドルに夢中になってもいいし(疑似恋愛ですけどね)、家族に隠し通せるのであればアメリカ映画『マディソン郡の橋』のように期間限定の恋を楽しむのもいいでしょう。

一方の後者は社会的な承認を必要とします。誰しも一人きり二人きりで生きていくことはできないのだから、肉親や親しい友人たちから祝福され応援してもらい、自分たちも他の人たちを支えられるような結婚でなければ意味がないと思います。
しかし、現実にはそのような結婚ばかりではありません。結婚した途端に「家庭引きこもり」になり、友人や仕事仲間だけではなく両親からも疎遠になってしまったお金持ちの男友だちがいます。
共同生活をする結婚相手の影響力は集団生活を強いる新興宗教の教祖並みに強力なため、一度結婚をするとなかなか逃れられないのでしょう。
数年後に会ってみると体型や性格が悪い方向に様変わりしていたり……。
自己責任と言えばそれまでですけど、彼の不運を悲しんでいるのは決して僕だけはありません。

恋愛は純粋に個人のためだけにあるけれど、結婚は社会や家族をも幸せにすることを通じて自分も幸福になるためにある。というのが僕の意見です。
相手の親の年齢を上回るような歳の差婚は、現代日本の常識では受け入れられにくく、結果として周囲も本人たちも不幸になる気がしてなりません。
「忍ぶ恋」に留めておけばいいのに……。祝福されない結婚について洪さんはどう思いますか?

大宮冬洋

2014/07/18 12:46
 
     


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