「今は、私と主人と娘、そして私の母の4人暮らしです。義理の両親も近所に住んでいるので、遊びにいったり娘を預けたりと、みんなに頼りっぱなし。でも、こうやって人に頼れるようになったのは、私にとって大きな成長なんです」
二人姉妹の長女で、しかも母子家庭で育ってきた松岡さんは、気がつけば「しっかり者」で人に頼ることができない性格だったそうです。
「しかも完璧主義で。アレもコレも全部自分で完璧にやらないとダメ!って、ずっとそんな風に生きてきたんです」
そんな松岡さんが変わってゆくきっかけとなったのは、子育てを通しての経験からでした。
「子どもが産まれたとき、産後うつになっちゃったんです。もちろんホルモンバランスの急激な変化が原因だったんですが、普段は気にならないような細かいことが気になって、どうしようもないぐらい落ち込んじゃって。例えば自分の子どもにだけ乳児湿疹がでてると、もう『可哀そうに!!』ってボロボロ泣いたり、一ヶ月検診で心臓に雑音があるって言われて、これって私が緊急帝王切開したから、その麻酔のせいなんじゃないかって勝手に思ってネットで調べては落ち込んだり。ひとつひとつ、自分のことだったら気にならないようなことでも、子どものことになると気になってしまうんです。わからないことや思うようにならないことだらけで、パニックになっていました」
苦しむ松岡さんを救ってくれたのは、子育ての先輩たちでした。
「先輩と言っても年下の子が多かったんですが(笑)。私よりも下なのにもう3人目の子とかもいて、身近にいるママたちに、自分ひとりで悩んでたことを何気なく話してみると、『それ私もそうでしたよ』とか『私はひとり目のときはそうだったけど今回は違いました』とか『それってその子の個性なんですよ』とか、みんないろいろ話してくれて。その一言一言に、すごく救われたんです」
今まで自分で何でもできる、何でもやらなきゃと思っていた松岡さんは、育児を通して何もかもを一人でできるわけではないことを知りました。そして、人に頼ることの大切さを学んだそうです。
「私にとって『甘えること』はすごく勇気が必要なことでした。でもどうやったって、ひとりでは限界があるんですよね。だから甘えたり頼ったりすることも、成長につながっていくのだと思ったら、これからはひとりでなんでもやろうとせずに、どんどん甘えてどんどん頼っていこう、って思えるようになったんです。今は甘えっぱなしで気をつけなきゃいけないぐらいなんですが(笑)」