松岡緑 matsuoka midori
profile
1973年生まれ。2006年12月に結婚し、2008年4月に第一子となる長女を出産。専業主婦として家事と育児に奮闘しながら、地元の子育て仲間たちと一緒に読み聞かせサークル『レインボークラブ』を主宰。毎月1回、地元の公民館などを借りて読み聞かせイベントを開催している。
レインボークラブのホームページ


読み聞かせサークル「レインボークラブ」の様子。月一回行われるイベントには、毎回たくさんの親子でにぎわっている。
レインボークラブのホームページ





子育ての先輩たちがくれた言葉に救われた松岡さんは、地域の子育て仲間がいかに大切かということを痛感したそうです。

「もともと妊娠中に義理の母のお友だちの娘さんでお子さんが、ママ友同士で集まっていらっしゃるったから、紹介してもらって仲間に入れてもらったんです。それからそれぞれ友だちを連れてくるようになって和が広がっていった。みんなで話し合って、『読み聞かせサークル』をつくることにしたんです」
2008年1月にサークルとして発足して以降、毎月1回、公民館などを借りて読み聞かせイベントを開催。口コミを中心に仲間が増え、今では150組もの親子が登録しているそうです。
「お友だちの紹介で来てくださる方が多いんですが、今は児童館などに簡単なチラシを置かせてもらっているので、それを見てきてくださる方も増えてきました。
乳児の頃は特に、ママはひとりで悩んでいることが多いから、そうやって来てくださると本当にうれしいです。私が先輩ママに救われたように、この場所がママたちの発見とガス抜きの場になればいいな、と思っています」

結婚して家庭に入り、しかも子育てに追われるとなると、自分と社会との接点がなくなってしまうんじゃないかと不安に思う人も多いと思います。その辺り、いかがでしょうか?
「それまでとは別のつながり方が始まったんだな、って感じます。例えば、頼れるものは何でも頼ろう!って思って、社会にも頼ってるんですよ。こういう制度をもっと充実させてほしい、こういう子育て支援をしてほしいって、議員に直接陳情に行ったり!」
そうしてアピールした制度のひとつが、改善される動きがあるとか! 母の力強し、です。
「今子育てをしていて思うのは、子どもというのは母親だけが育てるのではなく、父親はもちろんなこと、祖父母や親戚、友だち、ご近所さんとか、いろんな人の力で育っていくんだな、ということ。実際うちの娘が私の母や主人のご両親、ママ友だちの力を借りて育っているのを見ると、本当にそう思うんです。
だから、社会にも、もっと頼ってもいいんですよね。子育ての実体験を通して感じたことをアピールして、今困っていることを解消できれば、どこかで幸せな家庭が生まれる。平和な社会ってひとつの家庭から始まるものだと思うから、そういう、主婦なりの社会とのつながり方、主婦だからできるつながり方があるんだと、今は感じているんです」

もうひとつ。子どもを育ててると、どんどん『自分』っていうものがなくなってしまうんじゃないかという不安もありますが、これについては……?
「それは、全く反対ですね。子どもって、常に親を見てますから、子育てしてる今こそ、自分がすごく大切だと感じます。『育児は育自』という言葉があるけれど、まさにその通り。
だからと言って完璧にやらなきゃと思うと自分を追い込んでしまうから、自分のできることを続けていく、チャレンジしていこうと思っています」


家庭を持っていない人からすると、家庭を持っている人たちのことは全く別世界で起こっている出来事のように感じてしまうことがあります。
例えば、同級生たちの出産体験や授乳の話、育児の悩みを聞いていても、何一つ共感できるものがなかったり。
松岡さんのお話を聞いて、それはもしかしたら、「目線」の違いではないかと思いました
私はずっと代わらない「子ども」の目線しか持っていないけど、松岡さんをはじめ彼ら彼女らは、「親」としての目線を持っている。だから同じものを見ても、別の喜びや発見があったり、優しさを持って接することができたりするのかもしれません。

そしてその目線というのは、経験したものだけが持てる、というわけではないと感じました。
その目線に共感できる優しさと強さ、大きさを持っていれば、きっと誰でも見えるようになる。
それが、大人になるということなのかもしれません。
あなたは、大人ですか? もうちょっと、子どものままですか?
私はというと………………

 



<了>


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text by Hong Ae Sun
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