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トレイシィ・チャベス Tracy Chavez
<profile>
1986年生まれ。ペルー出身。1991年に家族とともに来日。2009年、関西大学経済学部を卒業し、今春より上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科に入学予定。ペルーの農村地域における持続可能な経済発展メカニズムについて研究中。




現在23歳のトレイシィさん。将来の目標についても、尋ねてみました。
「やっぱり、自分はペルーと日本、両方にルーツを持っているので、その架け橋になれたらいいな、と思います。そのために、国際的なNGOとか、国際機関に行けたらいいな、と思ってるけど……正直、将来って何があるかはわからない、というのが信条なんです。将来のことについて明確にするのが苦手というか、あまり好きではないというか……。
理想はあるけど、可能性は幅広く持って、限定したくないって思っているんです。それに、明日何が起こるかわからないこの世の中で、2年後のことなんてわからないじゃないかって。そういうところ、ラテンなのかもしれない(笑)」
ペルーと日本。自分の持っているルーツを、すごく大切にしたい、と語るトレイシィさん。
「自分のルーツのことを考えたとき、文化もそうだし語学もそうだし考え方も、全部、日本とペルーの両方を持っていると思うんです。だから、その全てを活かせる仕事ができたらいいな、と思います。それを活かして、日本とペルーの架け橋になれたら、それが理想ですね。そのためにこれから2年間、がんばって研究して、理想を現実にできるように、一歩一歩進めたらな、と」
最後に、トレイシィさんにとって家族ってどんな存在ですか?と訊いてみました。
「うーん、ひとことで言うのはむずかしいけれど、生きがい? かな。自分ががんばれるための支えです。近くにはいないけど、つながっているって思う。距離の問題ではないんですよね。ずっと通じ合ってると思う。これは、家族みんなそう思ってるんじゃないかな。かけがえのない存在です」



トレイシィさんとお話していて、その“純粋さ”に本当に心惹かれました。
4歳での来日、そして16歳での家族との離別。弟たちへの愛情、姉への感謝、そして両親への敬意……。そんな家族への深い愛が、日本とペルーのかけはしになりたいという気持ちの根底に流れているのかもしれません。
家族を愛し、ルーツを大事にするという、ある種とてもシンプルな生き方が、私たちに語りかけてくれるものは、たいせつなものを、ちゃんとたいせつにして生きていこう、ということかもしれません。
ひたむきに生きるトレイシィさんの姿に、あなたは何を想いますか?





<了>



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text by Hong Ae Sun


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