<profile>
大宮冬洋 omiya toyo
1976年埼玉県生まれ。フリーライター。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。雑誌、web、書籍などで活躍する。著書に『30代未婚男』『ダブルキャリア』(ともに共著、NHK出版生活人新書)、『バブルの遺言』(廣済堂出版) がある。最新刊は、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵〈ストーリー〉』(ぱる出版)。

BPnetビズカレッジにて『「ロス女」vs「ボク様」50番勝負』を、WEBぱるマガジンにて『大宮冬洋の「わたしたち、ユニクロで働いていました」』を、NHK出版のブログメディア「あしたの生活」にて、30代の悩みというテーマで自分自身に取材するルポエッセイ「30代のもやもや」を好評連載中。
ブログ『実験くんの食生活』を毎日更新。
2011年9月より、毎月1回主催イベント『スナック大宮』を開催。今後の開催予定は、10月17日、11月21日、12月19日(事前予約制、早めの予約推奨)。


洪愛舜 Hong Ae Sun
1977年大阪府堺市生まれ。
立命館大学理工学部卒業後、出版社勤務などを経てフリーランスのライター・編集者に。編集プロダクション「econ(エコン)」主宰。
著書『もやもやガール卒業白書』(MMR)がある。
『econ-mag』編集長。





     
 

大宮冬洋さま

お返事ありがとうございます!
返信が遅くなってしまってすみません。
母が少し体を悪くして、しばらく大阪の実家にいました。
私が居るからといって何がよくなるというわけではありませんが、会って話を聞いたり、孫と戯れたりすることで、ちょっとでも元気になればなぁと思ったのです。
(結局、母の病気はあまり深刻ではなく、すっかり元気ですのでご心配なきよう……)
以前、この往復書簡で、父や母について「卒業した家族」と書きましたが、自分に子どもが生まれてから、この感覚が少し変わったように思います。
「子どもを持って初めて親のありがたみがわかった」というのもありますが、それよりも、なんというか、今、子どもと接していて、親というのは「乳幼児時代」という「原始の自分」を間近で見られて、世話をしてもらった相手なんだと思うと、格好つけてもしょうがないんだな〜と思うようになったというか……。
制度では語れない「親子のつながり」を感じているのかもしれません。

さて、大宮さんが書かれていた「自分以外の何かに夢中になれること」という青春の定義。
わかるような気もしますが、よくわからない部分もあり……。
夢中になる対象は「自分以外のもの」かもしれませんが、行っているのはあくまでも「自分」なので、主役は「自分」だと思うんです。
少なくても私は、「青春だった」と自分が思う頃に夢中になっていた仕事や、部活や、恋愛(や、今、自分が夢中でやっている子育てや、子ども会立ち上げ活動や、ママトモとの活動など)を、「自分以外のもの」という風に分け隔てて考えたことはないし、もっと言うと、それもこれも、自分の意志で、自分がやりたくて、自分のために行っていたと言えるかもしれません。
自分自身が夢中になっているのであれば、対象が「自分のこと」であれ「自分以外の何か」であれ、関係ないのかな、と。
自分の中の意志がはっきりせず、「自分以外の何か」からの評価を気にするから、妙に冷静になってしまい、何事にも夢中になりきれないのではないでしょうか?

と、また、ズバズバと言いすぎてしまいました。
すみません。
でもね、大宮さん。ここまで、大宮さんのメールに書かれていたことに対して、感じたことを書きましたが、大宮さん自身に対しては、私、こんな風には感じていないんです。
私が会って話して接する大宮さんは、仕事も、恋愛も、人間関係も、余暇も、自分なりに努力しながら夢中で楽しもうとしているように感じます。
そう、「今」という「青春を謳歌している」ように感じるのです。
だから、「自分の評判や能力や状況を心配してウジウジしている自分」という自分自身へのレッテルを、そろそろ、外してあげてもいいのではないかな?と感じました。
大宮さんの、内面に向き合ってモジモジしているお仕事はとても好きですが、「ウジウジした自分であらなければならない」と自分を追い込んでしまって、実はとても充実している(かもしれない)今現在の自分自身を見逃してしまっていたら、 それはとてももったいないことかもしれないなぁ、と思うのです。
そして私は、「モジモジ」と「青春」は、両立できると思います。

勝手なことをたくさん書いてしまいました。
『夜を賭けて』のDVD、あります!
大宮さんにぜひ観ていただきたいです。そして感想を聞きたい!
私も手掛けた一員、なんて口が裂けても言えないぐらい、ただの新入社員でしたが(もちろん、エンドロールにも登場しません)、私が入社するのと同時期に撮影が始まり、撮影中や興業中の空気は一緒に感じていたので、「共に育った作品」みたいな感覚です。
そっか、レンタルもされてないんだなぁ。いろいろあったからなぁ……。少し切ないです。
次にいつお会いできるかわからないので、お送りさせていただきますね。
あれ、山本太郎さん、『パッチギ』出てたかな!?

急に涼しくなりましたね。
今年も、「暑さ寒さも彼岸まで」という予言があたり、昔の人の偉大さをまた実感しました。
(毎年この話をしている気がします)
体調を崩しやすい時期ですので、どうぞご自愛ください。

 


洪愛舜

2012/09/27 3:31
 
     


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