何よりも踊ることが好きだから、会社員という安定した職業を脱ぎ捨て、バレエの世界で生きていくことを選んだ宮川さん。それほどまでに愛するバレエですが、本当に大切なのは、「踊ること」よりも「踊りを好きでい続けること」と言います。
「一緒にダンスをする人たちの中で、私から見たらなんて才能に溢れてるの、なんてすてきなの、という人でも、辞めていってしまう人がとても多いんです。他にやりたいことができたり、自分の中で挫折してしまったりと事情は多々ありますが、どんな理由にせよ離れていってしまう。本当にもったいないと思います。でも、だからこそ、『続けること』が、一番の才能だと思うんです。続けられなかったら、その人がどんなにすごいテクニックを持っていても、どんなにきれいな体をしていても、そのことに関しては才能がなかったのと同じことになってしまうんだって」
日本では、バレエダンサーという職業で生活してゆくことがとても難しいという現実があります。そのため、小さいころからバレエを習っていてある程度の実力が備わっていくと、自分とバレエの関わりについて苦しむ子が多いようです。
「バレエ教室で子どもたちにバレエを教えていたとき、そんな子たちをたくさん見てきました。中学生、高校生ぐらいになると、趣味としてバレエを続けていくのか、でも自分の中でバレエが趣味以上のものになってしまっている。これから自分がバレエとどう関わっていけばいいのか、バレエを続けることに希望を見出せないことはとても悲しい。実際に私もそれですごく悩みましたし、今でも悩むこともあります。
だから、そのひとつのモデルとして、というと大げさですが、どんな風でも『踊ること』と関わって生きていける、それでちゃんと生活ができていけるということを、自分自身で証明できたらと思うんです。今はそのデータ収集のためにも、いろんなことやってみようと思っています」
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