播摩早苗 Harima Sanae
<profile>
株式会社フレックスコミュニケーション代表。1958年北海道札幌市生まれ。HBC北海道放送にアナウンサーとして勤務後、独立。心理学、自己表現、コーチングなどを学び、2001年フレックスコミュニケーション設立。自らも講師として大手企業の管理職研修、プレゼン研修のほか、女性のためのコミュニケーションセミナー、営業マンのCS研修などを中心に活動する。ラジオ番組出演、経営者・管理職対象の公演などを通じ、コーチングの普及活動も活発に行っている。『目からウロコのコーチング』『モテる男の会話術』(PHP研究所)など著書多数。2010年5月に出版した『リーダーはじめてものがたり』が、読み進めるうちにリーダーとして成長できる目からウロコのビジネス小説として、ビジネスパーソンを中心に話題を集めている。






「たいせつインタビュー」記念すべき10人目のゲストは、播摩早苗さんです。局アナを経てフリーのナレーターとして独立後、コミュニケーション心理学やコーチングを学び、現在は株式会社フレックスコミュニケーションの代表を務める播摩さん。
「あなたが今、一番たいせつなものはなんですか」
このコーナー定番のファーストクエッションに、播摩さんは「少し話がそれてもいいですか?」と前置きをされてから、こうお話し始めました。

「すごくいい質問だなって思ったんです。このインタビューのお話をいただいてから、『たいせつなものってなんだろう、なんだろう』って考えてたんですよ。たぶん10年前の私だったら、たいせつなもの、たくさんあったんですよ」
10年前というと、ちょうどミレニアムの頃です。
「そう。私は40歳くらいで、あのときは家族も大事だし仲間も大事、時間も自分の欲も大事で、すごくいろんなものが大事でたいせつにしたいと思ってたんです。それは、たいせつにしていないものがたくさんあったからなんですね。『たいせつにしていない』の裏返しで、『たいせつにしたい』があったのかな、と」
この10年間でそれが変化した、という感じでしょうか?
「もちろん、それらは今でもたいせつではあります。でもこの10年で、自分が何に向かって、何を求めてどういう状態になりたくて生きているのか、を深く見つめられたと実感しています。今は、選りすぐったたいせつなものをたいせつにできている暮らしに突入できている、という感じがあって。
だから、若い人たちの躍動的な『たいせつなもの』とはまた違う、50年生きた私だからこそ、今できる『たいせつなもの』の話があるな、って、この3週間くらい考えていたんです」
ありがとうございます……! 
「この10年で、たった今目の前にある問題に翻弄されなくなりました。それは、そもそもどの山に登りたいかって言ったら、『あの山です』っていうのが自分で見えてきたから。あの山を目指せばいいじゃない、って、目の前の問題に汲々としなくなりましたね」
自分がどこに向かっているのかわからないとき、目の前に壁が現れたら、それを乗り越えることが目的地になる。でも目指したい山がわかると、目の前の壁はあくまでが道程のうちの一つ。そう思えると、ひとつひとつの壁を力まず乗り越えていけそうです。
ここで播摩さんのおっしゃる『山』というのは、自分が成功するイメージ、なのでしょうか。

「もちろん『どうやったら成功か』というのはありますが、その更に上に『自分はどういう心の状態で生きていたいか』とか、『私が生きるってどういうことか』っていうのがあるんです。レイヤー(階層)になっているイメージですね。更に下に行くと、どう仕事をしていくかとかどう時間を過ごすか、どう仲間と過ごすか、家族と過ごすか、とかがあるのですが、上のレイヤーで迷わなくなってきたので、下のレイヤーにある事柄で波間の木の葉のように揺れなくなってきました」
上のレイヤーがしっかりしていると、下の階層でグラグラしない、ブレない。
播摩さんの上のレイヤーである『自分はどういう心の状態で生きていたいか』について、「たいせつなもの」を切り口に、ひもといてゆくことにしましょう。

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text by Hong Ae Sun





 
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